No.10 ページ11
(横峯)
ドラマを観て医者になった。ドラマの中のドクターヘリはかっこよくて、どんな怪我も病気も治すヒーローのようなもの。
でも、いざ現場に来てみればそこは一言で言うなら地獄。
小屋が倒れて、人も倒れてる。
さっきまでそこは賑やかなお祭りだったのに、そんな賑やかな姿は全く無くて。
「行くよ！」
そう、誰かに声をかけられてついていくように後ろを走っていく。
現場がこんな酷いなんて予想してなかった。だって、まさかフェローなのに。
「こっちを見て！」
「っ！？」
頭が真っ白でパニックになっていたら藤川先生の大きな声で現実に呼び戻される。
藤川先生は既に処置中で、すぐ横にいた名取先生も私にぶつかりながら何処かへ走っていった。
ねぇ、何でそんな普通に冷静でいられるの。
こんな酷い現場なのに。
「落ち着いて、深呼吸しよう」
私は言われた通りに深呼吸をした。
うん、さっきよりは少しだけ冷静になれたかもしれない。
「よし、ワンブロック先にスーパーの駐車場がある。そこに軽傷者が集まってる、灰谷が先に処置してると思うから横峯も向かって」
「は、はい…！」
ワンブロック先のスーパー。
何度も何度も胸内で唱えていたら、進む方向が逆だったみたいで藤川先生に止められ、反対方向に走る。
ワンブロック先のスーパー。
そう思いながら走っていたら、レスキュー隊員に呼びかけられる。
「先生！ここに男の子がいます！」
「え、あ、でも……」
"ワンブロック先にスーパーの駐車場に向かって"
どうしよう、藤川先生の言われた通りにしないといけないのに。
「先生！早く！」
私が悩んでいる間にレスキュー隊員は小屋の奥へと進んで、私に向かって声を上げている。
本当はスーパーに行かなきゃいけない、けど私だって医者なんだ。
「はい！」
「足元に注意してください！では！」
そう言ってレスキュー隊員はまた別の場所へと走っていった。
私が足元を注意しながら奥へと進むと、少しずつ視界は開ける。
「……ぇ」
私の視線の先には、今にも倒れそうな壁を片手で抑えながら血を流して片目を瞑る私と同じ青いスクラブを着ているの女性。多分、桜井先生だ。
その桜井先生が庇うようにいるのは壁と小屋に挟まった男の子。
『横峯先生！私のシーバー何処かに落として連絡出来ないから代わりに呼んで！』
そう言われた瞬間、私はシニアドクターを探しに走って小屋を出た。
桜井先生が何か言っていたような気がした。
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Yuri - 更新、楽しみにしています！ (2018年8月2日 21時) (
レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - ☆ゆゆまる☆さん» ありがとうございます。すぐに確認し訂正させて頂きます。 (2018年5月27日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - みかさん» 返信遅くなりすみません。ありがとうございます、すぐに訂正します。 (2018年4月14日 18時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
みか - No.１８で「行ってたの」が「言ってたの」になってますよ (2018年4月2日 13時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
柚希拓海(プロフ) - 真衣さん» 感想ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2018年3月30日 14時) (レス) id: 0d726a2806 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚希拓海 | 作成日時：2018年3月20日 21時
