幸せのお手伝い。2 ページ12
翔side
翔「うん、詩ちゃんだった。」
智「え、電話掛けてくるの初めてだったよね？」
翔「うん。苦しくなったみたいで助けてって電話くれたんだけど、しにたい、こわい、愛してなかったって。今までの中学の時を思い出すのと違った。」
智「愛してなかった、って...」
翔「詩ちゃん、自分の部屋で電話してたみたいで。多分母親だろうね、叩かれたような音と怯える声の後、切られちゃった。」
智「そっか...。」
俺らは所詮、医者でしかなくて。児童相談所の職員でもないし、コールセンターの人でもない。患者さんからSOSがあっても、俺らはこころのケアしかすることが出来ないんだ。
それが、すごく歯がゆい。
どうする...？俺に何が出来る...？
智「翔。
翔は、どうしたい？」
翔「...所詮医者は何も出来ないじゃん。」
智「そうだね。でも出来ることが一つも無いわけじゃないでしょ？」
翔「通報するの...？だって俺、今録音してたわけじゃないし、それに音声だけじゃ家に行ったところで追い返される場合だって！」
智「ふふ、翔落ち着いて。」
智にぃは、いつものようにのんびりと笑った。
え、なんで？
智「来週の通院日まで待ってあげて。詩ちゃんも頑張ってるから。」
翔「ん、でも...。」
智にぃが考えてることだから、きっと大丈夫なんだろうけど。
上手くいっても、彼女は幸せになれる？
一時保護所は、実際あまり良いところではないと聞く。
環境的にも、精神的にも。
せっかく周りにSOSが伝わり、1番怖かったものから離れて生活出来るようになっても、俺らの元に来る子を何人も見てきた。
急に知らない場所へ連れて来られ、私物は厳禁。周りと連絡が取れない。外には出られない。学校すらも行けない。今日からここで暮らすよと言われても、急に知らない人と一緒に食事をしたり、お風呂に入れたりするものだろうか。
これからの不安。孤独感。年上の子からの圧力。
"せっかく助けてもらったのに。"
"こんなんで悩んでちゃダメなのに"。
"酷いことされてもいいから家に帰りたい。"
クリニックに来た子達は、よくそんなことを口にしていた。
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ココ(プロフ) - お話読ませていただきました。結末がとても気になるのですが、まだお話を書くのを再開するのは難しそうですか？お返事いただけたら嬉しいです。 (2021年7月3日 0時) (
レス) id: 994a0565cb (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - とても面白かったです！！まさか、5人にこんな過去があったなんて、、、！！こんなに夢中になってお話を読んだのは久しぶりだったのでとても楽しかったです！続きも楽しみにしています。これからも応援しています！ (2020年11月7日 10時) (レス) id: afb55c9e99 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - ゆいかさん» 待っていてくださりありがとうございます！励みになります。少しずつですが更新していくので長い目で見て頂けたら嬉しいです。 (2018年10月25日 12時) (レス) id: 27b6dae044 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか - 待ってました！私はこのお話がとても好きです。これからも頑張って下さい。楽しみにしてます。 (2018年10月25日 0時) (レス) id: 1048fe7101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のあ | 作成日時：2018年9月11日 22時
