キミの存在価値。1 (ページ10)

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素直にページ10

和也side

自己紹介を終え、暇になった俺は詩ちゃんの腕の手当てをすることに。

和「はい、おしまい。詩ちゃん若いから、目立つほど傷残らないと思うけど、自分の身体大事にね。まあ、この俺にかかれば傷なんて消えちゃうけどね(どや)。」

え、最高のドヤ顔したのに、顔上げたら詩ちゃんいないし！！！！

ふーんだ、いいもんねーー。

こんなことで和くん負けないもんねーーーだ。

慌てて包帯やガーゼを片付けて、談話室奥のプレイルームへ。

詩ちゃんは、大きなやわらかいつみきで出来た塀に座って、窓から外を眺めていた。

どきっ。

画になるようなその姿に目を奪われる。

腕に巻かれた痛々しい包帯が彼女の儚さを増していた。

詩「ここで遊ぶような小さな患者さんもいるんですか、和先生？...って呼んでもいいですか...？」

おおーーー！！詩ちゃんの和先生呼び、やばい嬉しい翔にぃに自慢しよ。笑

和「勿論だよ、ありがとう。小さいお子さんを持つお母さん方の為に作ったけど、親が患者さんだと子供のケアも必要だからさ。小さな患者さんもいることになるね。」

詩「そうなんだ...。親が辛いの知ってたら、相談も遠慮しそうですね。しんどいだろうに...。」

詩ちゃんは側のウサギのぬいぐるみを撫でながら、一瞬表情を変えた。こんなに切り替えか上手いんじゃ、誰も気づかない訳だ。

雅にぃの話から考えると、"まだ話せない"ことは親のことだろうね。気にしておこう。

和「そうだね。辛いこと教えてもらえないことも多いよ。...詩ちゃん、子供は好き？」

詩「はい。今まで子供って、好きとか嫌いとか、素直で可愛いなって思ってたんですけど、小さい子でも感情を殺したりするんですね...。」

なるほどね。

詩ちゃんは素直に感情を出せないことをどう思っているんだろう。

素直になりたいと思っているかな。

素直になるのはいけないことだと思っているかな。

素直になるのを怖がっているかな。

和「詩ちゃんはすごく優しいね。子供に寄り添って考えようとしてる。俺は、詩ちゃんのこと十分素直な人だと思うけど？」

詩「優しくないです。素直じゃないです。素直になったらダメなんです！また人を傷つけちゃうから...！！」

感情を殺して、自分が分からなくなって、今詩ちゃんは苦しいんだ。

大丈夫だよ、詩ちゃん。

俺らは、ずっと、ここにいるよ。