キミの存在価値。1 (ページ9)

今日:30 hit、昨日:1 hit、合計:142,422 hit

これからページ9

雅side

''まだ"ってことは、いつか話そうっていう前向きな気持ちがあるんだね。嬉しいな。

潤に車で迎えに来てもらって、詩ちゃんを乗せてクリニックまで急ぐ。

雅「詩ちゃん、弟の潤だよ。顔は濃いけど本当は優しいから安心してね、あひゃっ！」

潤「本当は、って何さ！」

詩ちゃんは俺らのやり取りを見て、少し笑ってくれた。良かった。

雅「詩ちゃん、僕らのクリニックには僕と潤と、あと3人のドクターがいるんだ。僕ら5人兄弟でさ。ナースは女性だけど、ドクターがみんな男なんだ。

大丈夫そう？無理だったら僕が詩ちゃんの担当するけど、平気なら5人で詩ちゃんと頑張りたいな。」

詩「大丈夫です。でも、あの、皆さん忙しいのに私1人を5人で、って迷惑じゃないですか...？」

潤「ぜーんぜん。」

詩「え？」

潤「むしろ俺らが仲良くなりたくて言ってるからさ。詩ちゃんが俺らに頼ってみようと思ってくれてることが1番嬉しいんだ、ね？」

潤がハンドルを握りながらバックミラーの中で詩ちゃんと目を合わせる。

美味しいとこ取られた！！！

クリニックに着くと、智にぃと和が談話室で待っていた。翔にぃは予約沢山で先に始めていいみたい。

智「ようこそ、詩ちゃん。智です。」

和「和也です。よろしくね、詩ちゃん。」

俺らがいつも気にしてること、それは、必ず名前を呼んであげること。その方が安心しない？

ガチャッ。

翔「ごめんお待たせー

って、ああーー！！！！！」

その後他愛もない話をしてたら翔にぃが叫ぶ。

なになに、どうしたの？

智「翔、うるさいよぉ。翔が言ってた子って詩ちゃんでしょ～？そっかぁ。翔がビビりだから雅紀に取られちゃったんだ～。」

翔「そうだよ！もうびっくりしたー。詩ちゃん、俺、翔って言います。俺さ、詩ちゃんを何度か電車で見かけてて、心配してたんだけど、雅紀の方が早かったか～。」

翔にぃの告白に一同驚いていると詩ちゃんはうっすら涙を浮かべている。

潤「詩ちゃん？」

詩「あ、すみません...。私のこと気にかけてくれる人がいたなんて嬉しくて...。えへへ。」

ああ、詩ちゃんは、元々キラキラの笑顔の明るい子なんだろうな。

こんな笑顔がもっと見れるように頑張らなきゃ。

詩ちゃんが自分の存在する価値を見つけられるまで。

たくさん、たくさん、愛してあげよう。