キミの存在価値。1 (ページ7)

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出会い4 ページ7

詩side

電車の中で突然苦しくなった私を助けてくれたお医者さま。

キラキラの笑顔が眩しくて、太陽みたいな人だ。

私とは全然違うね。

？「呼吸落ち着いてきたね。良かった。びっくりしたよね、他にしんどいところはない？」

詩「あっ、えっと、はい、大丈夫です。あの、助けてくださってありがとうございます。」

？「いえいえ、気にしないで。

...あひゃ、そっか！！」

びくっ。

お医者さまの突然の声に驚いてしまった。恥ずかしいし、緊張する...。

？「ごめんごめん、大きい声出して。名前言ってなかったもんね。僕は風山雅紀。喜多川メンタルクリニックの医師です。お名前、聞いてもいいかな？」

雅紀先生、か。

あひゃって不思議な笑い方をする。本当に先生じゃないみたい。お高くとまってないし、少し可愛げがある。

詩「...時多詩です。」

雅「詩ちゃん！可愛い名前だね。

詩ちゃん、病院と男の人は苦手かな？」

詩「え？...普通です。」

先生の笑顔が眩しくて緊張するんです、なんて本当のことを言う勇気は私にはなかった。

雅「そっか、良かった。あのね、詩ちゃん。僕がこの仕事してるから、敏感になってるだけかもしれないんだけど、腕の傷、病院で手当てしたいんだ。」

え...？

何でバレてるの？

何でそんな目で見るの？

何で心配してくれるの？

詩「...グスッ。」

こんな気持ちになったのは初めてかもしれない。

弱いところを見られたくなくて、泣くことさえ忘れたと思っていたのに。

頼りたい。助けてほしい。

雅紀「大丈夫だよ、僕は詩ちゃんの味方だから。今日初めて会ったおじさんが言うのはアレだけど、頼っていいんだよ。助けてって言ってもいいんだよ。どっちも悪いことじゃないからね。どんなに小さなことでもいい、僕に教えてくれないかな。」

雅紀先生は、私の目を見てそう言った。

久しぶりに流した涙はなかなか止まらなくて。

私は頷くことしか出来なかった。