キミの存在価値。1 (ページ48)

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5人になった日。7 ページ48

雅紀side

雅「父さん！？母さん！？

和、何があったの、ねぇ！！！」

慌てて和に駆け寄っても、静かに涙を流すだけ。

ショックで耳が聞こえてない？話せない？

雅「翔にぃ、救急車呼んでよ！！！しっかりして！！！！」

いつも冷静な翔にぃは座り込んでしまって動かない。

翔「今更呼んだって、もう、助からないよ...。」

翔にぃは虚ろな目のまま、呟いた。

あぁ、何かが壊れていく。

和「...ゃ、」

雅「和？」

和「嫌だ、嫌だ嫌だ！！！！！麻歌！！！！！父さん！！！母さん！！！」

ぷつん、と何かが切れたかのように、

人が変わったかのように、和は泣き叫ぶ。

怖い。

もう、分からない。

雅「も、しもし、智にぃ、はや、く、帰ってきて、」

がくがくと手も足も震えている。声も震えている。

何とか智にぃに電話したけど、智にぃが何を言っていたか覚えていない。

雅「警察、救急車も、」

まさか人生で110番に電話する日が来るなんて思ってなかった。

雅「帰ってき、たら、両親が、あかくて、倒れて、て、妹、がいな、くて、」

怖い。

狂ったように泣く和も

倒れて動かない潤も

呆然として虚ろな目のままの翔にぃも

冷たい両親も

床に転がったあーちゃんのぬいぐるみも

震えた声で警察に電話する俺も

全部怖い。

何で、こんなことになってるんだっけ。

何で、俺こんな震えてるんだっけ。

智「雅紀！！！」

雅「さと、にぃ、」

玄関でバタバタと音がして、智にぃが慌てて帰ってきた。

智「何で、こんな...！？

警察は、」

雅「電話、した、」

智「わかった。雅紀は潤に声掛けて。外傷確認と脈測って。医大生、それくらいは出来るよね？」

雅「でも、父さんと母さんは、」

智「今は潤のことだけ考えて。俺は翔と和みるから。」

一度は驚いた智にぃだけど、すぐに、恐ろしいほど冷静になって。

何で、何で父さんたちには何もしないの。

一番危ないのは2人なんだよ。

なんて、言えない。

あぁ、智にぃはもうわかってるんだ。

これから5人で生きていかなきゃいけないこと。

あぁ、崩れていく。

がらがらと、俺らの日常は、

こんなにも突然に、

こんなにも残酷に、

崩れてばらばらになってしまった。