キミの存在価値。1 (ページ47)

今日:23 hit、昨日:1 hit、合計:142,415 hit

5人になった日。6 ページ47

雅紀side

翔「雅紀！」

雅「お、翔にぃ！お疲れ様。」

翔「雅紀もな。」

俺と翔にぃは大学は違うんだけど、偶然にも実習先が同じ病院で。3週間、俺は小児外科、翔にぃは救命救急センターで実習をした。

いくら兄弟全員が医者目指してるからって流石に科までは一緒にならないからね笑

まぁ、逆に5人バラバラなのもびっくりしたけど笑

智にぃは無事医師免許を取得して、今はいろんな科を研修中。心療内科医になりたいって前に聞いた気がする。

同じく医大生の和と潤は俺らとは違うけど、2人で同じ大学に行っている。実習は来年からだそうで、和は小児科、潤は産婦人科に興味あるってこの前聞いた。

翔「小児外科どうだった？」

雅「うん、やっぱり大人と身体の大きさが全然違う子供が患者さんだからさ、外科なんだけど外科じゃないって感じ。小さいこと見逃しちゃうと命取りになるから大人診るより神経使いそう。」

翔「そっか。俺はさぁ、...」

病院から家までの帰り道、電車に揺られながら、翔にぃと実習で得たことをお互いに話して。和も潤も感想聞かせてねって楽しみにしてたから早く教えてあげようっと。

雅「ただいまー！あぁー涼しい～！」

翔「ただいまー。昼飯何ー？」

雅「...なに、かくれんぼ中？」

3週間振りの我が家のご飯だねって2人で楽しみにしていたのに、何かがおかしい。

ただいまって玄関で叫ぶと、てとてと危なっかしい足取りであーちゃんが駆け寄ってくるし、それを追いかけて、誰かしら来るのに。

物音一つ聞こえない。

確かにエアコンが効いてるから涼しいんだけど、

その涼しさとは何かが違う、空気の冷たさ。

何だ、この違和感は。

翔「なぁ、誰もいないってことなくない？」

雅「だよね。鍵空いてたし。」

翔「何かあるかもしれないから雅紀はここにいろよ。俺リビング見てくる。」

翔にぃは俺を玄関に残し、怖い顔でリビングのドアを開けて、中に入っていった。

まさかの事態を想定する、けど。きっとかくれんぼ中なんだよね？

雅「...翔にぃー？

もう入ってもいいー？」

5分経っても翔にぃの返事はない。

じゃあ緊急性を感じる大変なことではないってことだよね。

安心しきって、リビングのドアを開けたのがダメだったのかな。

リビングはあかかった。

両親もあかかった。

あーちゃんはいなかった。