キミの存在価値。1 (ページ46)

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5人になった日。5 ページ46

潤side

和「どうしたんだろ、俺見に行ってくるわ。」

潤「あぁ、お願い。」

生憎オムライスがまだ出来上がっていないため、俺はキッチンから離れることができない。

和「...ん！！...ぁさん！！！おい！」

潤「...？

和ー？何かあったー？」

無事作り終え、洗い物をしていると、リビングの方から和の慌てたような、焦った声。

何かあったのか、と声を掛けるが返事は返ってこない。

どうしたんだろう、と首を傾げながら、出来上がった残り4つのオムライスをお盆に乗せて、リビングのドアを開けた。

潤「和？何かあっ、」

和「来るな！！！！！」

潤「え、？」

こんな大声を出す和は珍しい。

俺のいる場所からは床に座り込む和の背中しか見えなくて、来るなと言われたら何も見えてないから状況は分からないんだけど。

和「潤くんは、来ちゃ、だめ、」

ただ、和は大声を出した割に、

その背中はとても小さく見えた。

その声はとても弱々しいものだった。

具合でも悪いんだろうか。だから床に座ってるの?

言うことを聞かずに、俺は和の元へ近づく。

潤「やだね。そっちにオムライス持ってかなきゃ行けないし。

具合悪かったなら言えよ。何、力入らなくなっ、た、......

え、？」

ガチャン

俺の手からお盆が滑り落ち、皿が割れ、オムライスは床に散らばる。

ケチャップのあかが床に飛び散った。

床は既にあかに染まっている。

和も床にオムライス落としたの？なんて言っている場合じゃない。

だって既にあかい床のあかはケチャップじゃないんだもの。

和の背中の向こうには、

あかに染まった両親。

あかい

あかい

リビングが、あかい

ソファもラグも

全部あかい

あかに染まった父さんと母さんは

既に冷たかった

潤「......あーちゃんは？」

和は震えたまま、動かない。

涙が彼の頬を伝う。

潤「っ！おい！！

麻歌はって聞いてんだろ！！！和！！！！！」

いくら揺さぶっても、ゆるゆると首を横に振るだけだった。

慌てて家中を探し回ったが、

玄関に、あーちゃんの白うさぎのぬいぐるみが落ちていただけ。

白かったはずのうさぎは

あかに染まっていた。