キミの存在価値。1 (ページ44)

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5人になった日。3 ページ44

和side

頭が痛い。

吐き気がする。

記憶の奥底に置いてきたものがふつふつと沸きあがってくる。

忘れていたあの子が、

記憶の片隅で、"和にぃ！"って

舌足らずな声で、

きらきらと笑うんだ。

・

・

麻「和にぃ！きょーのおひるごはんなぁに？」

和「んー？今日はパパもママもいるから俺は作らないよ？」

午前11時。休みなのをいいことに、明け方までゲームをしていて寝起き。

もそもそと一階のリビングへ下りると、

とことこと危なっかしい足取りで、俺の可愛いあーちゃんがお出迎え。

あ、麻歌のことね。俺があだな付けたの。うふ！

麻「あーちゃん、和にぃと潤にぃのおむらいす食べたい！」

母「だってよ、和。よろしくね～。笑」

和「…分かったよ。笑」

あーちゃんは俺と潤くんが作るオムライスがお気に入りで、

こうやっておねだりされるのはもう何回目だか分からない。

母さんと父さんが仕事でいないときは、

俺らが作るって決まってるからいいんだけど、

悪知恵の働く両親は、さぼるということを最近覚えたようだ。笑

まぁ、俺を始め、兄弟皆あーちゃんにゲロ甘だから、作るんですけど。笑

和「じゃあ、オムライス食べようね。

キッチン危ないから、作ってる間はパパとママと遊んでるんだよ？」

麻「はぁーい！！」

和「ん、いい子。」

パパ、ママ、なんて呼び方は幼稚園の頃で卒業していたのに、

あーちゃんのおかげで大学生にもなって、呼び方が戻ってしまった。笑

恥ずかしいからあーちゃんには早く大きくなってもらわないと。笑

俺が頭をなでてやると、あーちゃんは幸せそうな顔して、

リビングのソファでのんびりしている父さんと母さんの元へとことこと向かった。

さ、潤くん起こしに行こうかな。

夜中に課題頑張ってたから、まだ寝てるかな。

コンコン

和「潤くん、起きてる？」

潤「………かず？」

和「うん、俺。

ごめん、起こした？」

潤「………起きてた。ちょっと待ってて。」

寝てたな。笑

がちゃり、とドアが開くと、寝起きでいつも以上に目つきが悪い潤くん。

彼は寝起きの機嫌最悪だからね。笑

和「あーちゃんがまたオムライス食べたいって。」

潤「またか。笑」

そんなこと言ってるけど顔ゆるゆるだからね、潤くん？笑