キミの存在価値。1 (ページ33)

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パニック6 ページ33

潤side

談話室の椅子へ座らせると、

どこかそわそわして落ち着かない詩ちゃん。

潤「前回は、2週間くらい前だっけか。

あれからどう？ドキドキしたり、気分悪くなったりした？」

あくまでも、いつもと同じ質問から始める。

詩「うーん…そうでもないかな。」

ほら。

詩ちゃんのいつもの癖。

なんとなく、の答えが返ってくる。

詩「そんな感じ。」

詩「あったような、無かったような…？」

その後に続いた質問も、

ぼやけているものばかりで。

詩ちゃんごめん。荒治療、させてもらう。

潤「ん。じゃぁ最後。これは個人的な質問ね。」

詩「えぇ～、どうしたの潤先生。彼氏はいませんよ？笑」

潤「そういうことじゃないってば。笑

…詩ちゃん、ずいぶん痩せたね。」

その途端、表情は固まり、

ぴくん、と詩ちゃんの肩が揺れた。

潤「怒らないから。話聞くだけ。

詩ちゃんのタイミングでいいから…教えてくれる？」

詩「…。」

詩ちゃんは今にも泣きそうな顔でうつむいた。

詩「…5時半になったら。」

うつむいたまま、小さな声が聞こえた。

談話室の掛け時計を見ると、17時15分を過ぎたあたり。

潤「ん、わかった。

焦らなくていいからね。俺ここで仕事してもいい？」

ただ時間になるのを待ってるのはきついかと思って聞くと、

小さくこくん、と頷いてくれた。

潤「ん、じゃあ俺、書類持ってくんね。」

くしゃっと頭を撫でると、少しだけ力が抜けた気がした。

詩「先生…。」

詩ちゃんの様子を見ながら

しばらくカタカタとパソコンのキーを叩いていたら、

勇気を振り絞って聞こえた。

か細い声。

潤「いいよ、ゆっくりで。

ちゃんと聞いてるから。」

詩「あのね、夢を、見るの…。

前に言われたことが、ごっちゃになって、一杯一杯で…

次々にいろんなこと思い出して…っ

はぁ、はぁっ、もう、やだ…っ、はぁっ、」

息が上がっていく詩ちゃん。

やばい、早めに切り上げなくちゃ。

潤「うん、頑張ったね。詩ちゃん。

ゆっくり息吸おう。」

詩「全部、自分が、悪いのに！！

いい子じゃなきゃ、いる意味、ないのにっ、

育てにくくてごめんなさい…っ」

潤「！！

詩ちゃん！」

ふらりと、

詩ちゃんの身体が傾いていった。