キミの存在価値。1 (ページ32)

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パニック5 ページ32

潤side

潤「詩ちゃん。」

詩「ん、潤先生。こんにちは。」

待合室には文庫本を読む詩ちゃんの姿。

あれ、最後に顔見たの、2週間前…だっけ？

…痩せた。確実に痩せてる。

しかも、ダイエットの痩せ方じゃない。

食欲落ちてるのか。

…それとも、一口も口にできていなのか。

潤「こんにちは。いらっしゃい。

今予約入ってないの俺しかいないんだけどさ、

お話するの俺でもいい？」

顔も白いし、貧血だろうな。

院内は暖かいのに、手の半分くらいまで袖引っ張ってきちゃって。

…たぶん、また切ってしまったんだろう。

でも、気づいていない風で、あくまでもいつも通りに。

詩「もちろんです。先生が嫌なんて一回も言ったことないよ？笑」

潤「まぁね。

でも学校で疲れてるのに、濃い顔が近くにあったら疲れちゃうかなぁって。笑」

詩「ふふ、先生いつからそんなこと考えてたの？笑」

潤「え？」

詩「え？」

潤「そんなことないよって言ってくれると思った…。

え、もしかして詩ちゃん、いつも俺と話すの疲れる？まじで？」

詩「もう、何でそうなるの先生。笑

だって、顔が濃いめなのは否定できないんだもん。ふふ。笑」

学校の話を避ける詩ちゃん。

気づかれちゃいけないと、必死に笑顔を崩さない詩ちゃん。

出会った頃と同じ、貼り付けただけの笑顔。

ごめんな、俺らが気づかないわけがないんだよ。

潤「いやー、改めて言われるとショックだわ。笑

誰から教わったの、そんなこと。笑」

詩「え、和先生。←」

潤「和にぃめ…。」

詩「ふふ、怒らないであげてね？」

潤「ははっ。詩ちゃんからのお願いだもんね、仕方ないから言わないであげる。

さ、そろそろ行こうか。

…今、診察室整頓してなくて汚いからさ、談話室でもいい？笑」

詩「え！潤先生に限って、翔先生みたいなことあるんだね。笑」

今日はいろんな名前が出てくるな。

詩ちゃんにとっての"詩ちゃん"は

ノリが良い、よく笑う子ってところなんだろうか。

そろそろ行こうか、って声かけた途端、

戸惑いの色を見せたのは見逃せないよ。

潤「…っ」

ここまで弱らせてしまったことが悔しくて、

自分がどうしようもなく情けなくて、

きゅっと下唇を噛んだ。