キミの存在価値。1 (ページ23)

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記憶5 ページ23

○嘔吐表現含まれます。苦手な方は飛ばしても大丈夫です。
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翔side

潤の代わりに詩ちゃんを駅まで送り、無理しないでよと念を押して手を振った。

今心配なのは和と潤だ。

和は眠ってるとしか聞いてないけど、理由は潤と同じだろう。

悲鳴聞くの久しぶりだったもんなぁ…。

今日は5人で帰って、夕飯は雅紀に頼もう。

皿洗いくらいなら俺にもできるかな。(キッチン立ち入り禁止令が解けたらの話だけど。)

智にぃも雅紀も負担は最小限にしたい。

思い出すのは皆一緒だろうから。

医局に戻って、溜まったカルテの打ち込みを始める。

智にぃも雅紀も末っ子たちの側にいながら仕事してるだろうから、医局は俺1人。

"翔にぃ、あそぼぉ！"

ハッとして慌ててブンブンと首を振った。

だめだ、集中しなきゃ…。

PCのキーを押す音と書類をめくる音だけが響いていた。

翔「い゛っ！！！」

書類で指先を切ってしまった。

じわじわと広がる

あざやかな

あか

翔「!!!!?」

バタバタバタ…

ガチャッ

翔「ぉえっ、げほげほっ、はぁっ、はぁっ、げぇぇぇっ…」

俺でこんなになるなら、今日は危ないかもしれない。

フラフラのまま、智にぃの診察室1へ向かった。

コンコン

智「はぁーい？…って翔！？

顔色悪すぎ。…戻しちゃった？とりあえず横になって。…2人は雅紀に任せてあるから。」

翔「ん…はぁっ、もぅ、皆で、帰ろ？…うっ！」

息が続かない。

また吐き気がぶり返してしゃがみこんだ。

智「！！

いいよ、出しちゃいな。…あぁ、何かで切っちゃったんだね。」

背中を刺激されてガーグルベースに吐いた。

翔「んっ、おぇぇぇぇっ、げほげほっ、はぁっ、にぃも、顔色、わる、い、、うぅっ、おぇっ、」

朦朧とする意識の中、智にぃは悲しそうに笑った。

智「…そぅ、だね。今日は皆で帰ろっか。

先に2人車に乗せてくるから動かないでよ？」

智にぃはそういうと点滴室に向かった。

どうにもならない吐き気と、いつまで経っても消えない記憶に嫌気がさす。

そんな記憶に負けてしまう俺自身にも。

こんなんじゃ智にぃを守れないや…。

翔「うぅっ、おぇっ、ごほごほっ、

ぁっ、」

横になろうと立ち上がったものの、思ったよりも足に力が入らなくて、

フラッ

バタンッ

俺はそのまま意識を飛ばした。