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第1話 見習い天使の定め ページ3

『…』

眼下に見える風景は

天界を包む藍色の空に、ヴェールのような雲。

今のうちに天界を

この瞳に焼きつけておかなきゃ。

だってこれから下界にいくんだもん。

いつ帰れるかわからないし…。

18になった見習い天使は初めて下界、

つまり人間界に行くことを許される。

だからわたしには初めての下界…。

まあ、人間は見てみたいけど。

わたしは少し緊張しながら

小高い丘にたって上級天使の師を待っている。

はずなんだけど……

『ローマ様、遅いなぁ…』

思わず呟いた。

ロマ)A!!

『あ、ローマ様!』

ロマ)すまんすまん、待たせたな。

『いいえ…』

ところどころくるくるしたアホ毛に

人懐こそうな笑顔が印象的な

この人こそわたしの師、ローマ様。

ロマ)とうとう今日…だな。

『はい…』

ロマ)緊張、してるか?

『…してないといったら嘘になります』

ロマ)ははっ、だな!

だって下界だよ?

神様が作り間違えた人間が住んでるんでしょ?

怖くないなんて嘘に決まってる。

少し寂しげなローマ様の横顔をみつめて

わたしはタイミングをうかがっていた。

そう、18というこの歳は

天界では成人を意味する。いわゆる一人立ち。

師弟関係は終わらないものの

区切りとして見習い天使は師に

18年間の指導に感謝するのだ。

『ローマ様』

ロマ)…?なんだ?

『18年間、大変お世話になりました』

深く、深くお辞儀。

ロマ)Aも大きくなったな。前までこんな小さかったのに。

わたしは微笑。

天界では見習いは上級天使に逆らうことは

許されない罪に値する。

ローマ様はふっと笑うと大きな手で

頭をがしがしされた。

突如流れ出す昔の記憶。

大きなローマ様に抱えられた、

幼くて小さなわたし。

懐かしいな、この頃は。

よく遊んだんだよ?

あ、そうだローマ様の顔も

わたしの瞳に焼きつけておかなきゃね。

第2話 いざ、下界へっ…あれ?→←プロローグは昔話?



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結癒(プロフ) - ありがとうございますっ!!!はい、更新頑張りますね☆ (2012年8月2日 0時) (レス) id: b24d9d0974 (このIDを非表示/違反報告)
苺姫(プロフ) - おもしろかったです!主人公の天使が可愛いですね( *´艸`)続き、楽しみにしてます! (2012年8月1日 21時) (レス) id: 706f320e37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結癒 | 作成日時:2012年7月6日 17時

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