29.恩人 ページ30
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足りなくなった霊力を回復するために昼寝をしようと、小狐丸さんに護衛を頼んで壁に寄りかかったまま寝ていた。
うつらうつらと、浅い眠りを繰り返していると、にわかに周りが騒がしくなる。
どうやら手入れしてもらっていた子たちの目が覚めたらしい。
貴「お加減は、いかがですか?」
近寄って声をかけると、今まで手入れを受けていた子たちがこちらを見た。
瞬間、空気が動く。
貴「っ…!?」
目の前で起きた一瞬のことに、反応すらできなかった。
?「なんの真似だ、五虎退…!」
五「や、やめてください薬研兄さんっ!この人は、この人は兄さんたちを助けてくれたんですっ!」
薬研、確かいつかの早朝に僕を襲ってきた子だ。
五虎退と呼ばれた子が僕の前でその彼と刃を交えている。
どうやら僕は守ってもらったらしい。
一瞬遅れて一期一振さんが薬研、やめなさい!と叱りつける。
しかし、彼が刃を退く気配はない。
彼の本体は手入れが終わり新品も同然、しかし守ってくれている子の本体は今にもヒビが入りそうだ。
貴「…はぁ…兄弟に刃を向けるとは何事か。」
ため息をひとつつくと、五虎退さんの後ろから歩み出て薬研さんのみぞおちに一発、拳を叩き込んだ。
そのまま崩れ落ちた彼を抱き止めると、床に落ちた本体を鞘に戻して、再び布団に転がす。
一期「申し訳ありません!」
貴「あぁ、いえ、気にしていません。貴方の弟さんが守ってくれましたので。」
五虎退さんの前で膝立ちになって微笑む。
貴「ありがとうございます。貴方は、私の命の恩人です。」
少し涙目だった彼は、気が抜けたのかグスグスと泣き出してしまった。
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佑菜(プロフ) - 五月七日さん» 応援ありがとうございます。話の続きを待たせてしまって申し訳ないです。 (2018年10月24日 12時) (レス) id: 4551e98c94 (このIDを非表示/違反報告)
五月七日(プロフ) - 凄く面白いです!応援してます!更新待ってます! (2018年10月5日 20時) (レス) id: dbeede1e64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佑菜 | 作成日時:2017年4月23日 18時