検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:271,467 hit

29.恩人 ページ30

.


足りなくなった霊力を回復するために昼寝をしようと、小狐丸さんに護衛を頼んで壁に寄りかかったまま寝ていた。

うつらうつらと、浅い眠りを繰り返していると、にわかに周りが騒がしくなる。


どうやら手入れしてもらっていた子たちの目が覚めたらしい。


貴「お加減は、いかがですか?」


近寄って声をかけると、今まで手入れを受けていた子たちがこちらを見た。

瞬間、空気が動く。


貴「っ…!?」


目の前で起きた一瞬のことに、反応すらできなかった。


?「なんの真似だ、五虎退…!」

五「や、やめてください薬研兄さんっ!この人は、この人は兄さんたちを助けてくれたんですっ!」


薬研、確かいつかの早朝に僕を襲ってきた子だ。

五虎退と呼ばれた子が僕の前でその彼と刃を交えている。

どうやら僕は守ってもらったらしい。


一瞬遅れて一期一振さんが薬研、やめなさい!と叱りつける。

しかし、彼が刃を退く気配はない。

彼の本体は手入れが終わり新品も同然、しかし守ってくれている子の本体は今にもヒビが入りそうだ。


貴「…はぁ…兄弟に刃を向けるとは何事か。」


ため息をひとつつくと、五虎退さんの後ろから歩み出て薬研さんのみぞおちに一発、拳を叩き込んだ。

そのまま崩れ落ちた彼を抱き止めると、床に落ちた本体を鞘に戻して、再び布団に転がす。


一期「申し訳ありません!」

貴「あぁ、いえ、気にしていません。貴方の弟さんが守ってくれましたので。」


五虎退さんの前で膝立ちになって微笑む。


貴「ありがとうございます。貴方は、私の命の恩人です。」


少し涙目だった彼は、気が抜けたのかグスグスと泣き出してしまった。




.

30.第一回手入れ乱舞→←28.さぁ、治療の時間だ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (129 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
427人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

佑菜(プロフ) - 五月七日さん» 応援ありがとうございます。話の続きを待たせてしまって申し訳ないです。 (2018年10月24日 12時) (レス) id: 4551e98c94 (このIDを非表示/違反報告)
五月七日(プロフ) - 凄く面白いです!応援してます!更新待ってます! (2018年10月5日 20時) (レス) id: dbeede1e64 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:佑菜 | 作成日時:2017年4月23日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。