26.今、僕ができること ページ27
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離れに戻り、昼食を食べてのんびりとしていると、僕が助けたいつかの子虎が部屋に入ってきた。
こちらをしばらくじっと見た後、僕の膝に乗って甘えてきた。
貴「かっ…可愛い…」
思わず手を伸ばして撫で始めてしまう。
周りで小狐丸さんとこんのすけが不満そうな顔をしていたが、気にしない気にしない。
サラサラとした毛並みを撫で、肉球をフニフニとする。
貴「っふふ、ずいぶん甘えんぼさんなんですね。」
そうやって笑っていると、部屋の外でひそひそと話す声が聞こえてきた。
?「や、やっぱり…虎くんに優しいので…き、きっといい人です…」
?「まだわかりませんよ。本当は怖い人なのかも。」
?「そうだぜ五虎退。油断は禁物だ。」
小狐丸さんがおもむろに立ち上がって戸をがらりと開ける。
小狐「話があるなら中に入ったらどうです?そこな短刀達」
?「ひっ!」
?「うわっ!?」
小狐丸さんの後ろから顔を覗かせると小さな子達がこちらを見上げていた。
中には涙目の子もいる
貴「いらっしゃいませ。よろしければ、中に入ってお話でもしませんか?」
ニッコリと微笑みかけると、いつかの虎の子がほっと息をついた。
少し年上っぽい子たちは、複雑そうな顔をしている。
全員、ひどい怪我だ。
これまでこんな怪我で過ごしてきたのかと思うと、すごくいたたまれなかった。
しかし、彼らが僕に心を開いてくれないと、こちらからは何もできない。
自分の本体を他人に任せるなんて、よほど信頼していないとできないことだ。
…今、僕にできることは彼らとの距離を少しずつでも縮めることだけ。
こん「不安そうな顔をせずとも大丈夫ですよ、皆さん。紫苑様はとてもお優しい方ですから。」
こんのすけのお陰で、おずおすと部屋に上がってくれた。
…あとで油揚げをあげよう、そうしよう。
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佑菜(プロフ) - 五月七日さん» 応援ありがとうございます。話の続きを待たせてしまって申し訳ないです。 (2018年10月24日 12時) (レス) id: 4551e98c94 (このIDを非表示/違反報告)
五月七日(プロフ) - 凄く面白いです!応援してます!更新待ってます! (2018年10月5日 20時) (レス) id: dbeede1e64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佑菜 | 作成日時:2017年4月23日 18時