人間買いました。2

〜60〜 ページ21

ある一室。それはこのオークション会場の最上階に属する所。







厳重な警備が張り巡っている所。







ほら。今もこうして




兵｢ここから先、部外者は立ち入り禁止だ。｣




ローブを深く被る私に武器を構えてそう告げる。









兵なんていらないくらいの力はあるでしょうに。







呆れながら私は被っていたローブをおろす。








『通して頂けますか？』








兵は私の顔を見るなり慌てた顔をして武器を下ろした。








兵｢し、失礼しましたっ！｣







はぁ。めんどくさい。









何度も何度も構えられては慌てられる。そんなことが続くこの長い廊下。








やっと着いたある一室。








コンコンと強めに扉を叩く







？｢誰だ。｣








低く冷たい声でそう問われる。







『こんな場所に到達できるのは限られているのでは？』









あえて名前は言わない。冷たい声で私も回りくどく行ってみる。こんなことして、下手したら死ぬかもだけど。









？｢入れ。｣







その声を聞いて私は扉を開け部屋に踏みいった。









『ご無沙汰ですね。お父様。』









このオークションのオーナーは私の実の父親なのです









悪趣味だと思いません？実に気色悪い。









もしかしたらこれが本当の吸血鬼がする行動なのかもしれないけれど。









父｢何の用だ。｣









そう言えば...。特に用なんてなかったような気がするw









とりあえず釘だけさして帰ろうかしら。









『こんなこといつまでするおつもりですか。人間を売買して楽しいですか？』









娘にこんなこと言われるなんて笑いものね。









するとお父様は立ち上がり私に背を向けた。









父｢お前も見ただろう。人間を売り多額の金が入る売主の顔を。そして売られた絶望で虚ろな目をする商品を。｣









そりゃ見たくもないにしろ、見えてしまうもので。








『それがなんだと言うのです？』






私にはお父様の考えが分からなかった。








父｢あれを見て何も思わないというのか？｣









『哀れだと思います。両者とも』









そう、どちらとも哀れな姿よね。







人間を売ったのにあんなにも金に目がくらむ汚い人間の姿が、









素直に売られ希望をなくすあの顔がどちらとも哀れだわ。









そういうとお父様は高笑いをした。

〜61〜→←コメ返

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す