35−お前の全部見たい ページ35
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「……風呂、入るかァ」
「あ、でも私…着替えが」
「……あーー。…何か持って行くから入っとけ」
風呂場を案内して促したのは良いが…風呂のたった十数分の間も離れたくねェ。朝になるまで此奴の姿を見ておきてェ、
目の前の俺のモンの手を握って顔を凝視してると其奴は困惑と羞恥の表情を浮かべる。
「…ぅ、あの、さね、み…。離してくれないと、その、お風呂…」
「……」
「ん、脱げない、から…」
「…離れたくねェ」
クソ、一緒に入りてぇ。
俺の名前をまだ呼び慣れない様子で恥ずかしそうに俯く顔が訳わかんねェ位可愛い。
尚更離したくなくなって耳元で「一緒に入りてェ」と囁けば白い首まで阿保みてェに茹だった。
「ちょっと…レベ、ルが……高すぎます………」
「敬語に戻ってんぞォ」
「だって…実弥がいじめるから…!」
「いじめてねェよ。本心だァ」
俺に寄りかかってそう言う此奴が堪らない。
此奴の可愛さに免じて今は我慢してやらァ。
「…はァーーー。入んねェから風呂浴びろ。
着替え探してくるわァ」
「ありがとう、………実弥」
「ん」
もう一度手を引いてその柔い唇を喰う。
言葉にならない悲鳴をあげてたが勝手に堪能して脱衣所を出た。
「…しかしあいつ小せェよなァ。これじゃ無理か」
箪笥を引いて一番古い服でも今着てるものとあまり大きさは変わらない。
彼奴がこれを着てるのを想像してあまりにちんちくりんな姿に悶える。
_引き出しの隅に一回り小さな洋服。
ひらげれば見覚えのある寝巻き服だった。
「……これにすっかァ」
この服を着ていた_弟を思い出す。
鬼殺隊に入ってきた馬鹿な…俺の唯一。
俺のたった一人の家族なんだよ玄弥、…俺はお前を守りてェ。
「A。脱衣所の棚に着替えと手拭い置いてる」
「ありがとう」
「おォ」
曇った窓硝子の向こうで潤ったAが返事する。
別に意識はしていなかったが…ふと目を向けると硝子越しにぼんやりと桃肌色の姿が写っている。
「A」
「実弥? いるの? 呼んだ?」
「勃った」
「立った? 何?」
率直に疼きを伝えたが彼奴は分からねェみてぇだ。
気付いていない此奴に幸いだ、と何でもねェと言おうとしたが、風呂場でガタッと動揺した音がした。
「〜〜〜実弥! 居間で大人しくしてて下さい!」
硝子越しのこの女の顔が見てェが、クソ可愛い言葉に笑って我慢する事にした。
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k - あ、はいもう好きです。こんな恋愛したいですわ(?) (6月16日 0時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - ( ☆∀☆)実弥と恋仲になれて、しかも妊娠なんて(*≧∀≦*)幸せ!一推しなのでキュンキュンしました\(^-^)/ 続編とても読みたいです、 (2021年3月15日 0時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - ひぃぃえぇぇぇ、さねみんかっこよすぎて辛いです天才です大好きです私は何回でも言いますおそらまめさんだいすき… (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ミズノキさん» ミズノキ様コメントありがとうございます!うわああ嬉しいです…!全然天才なんかじゃありませんが、自信を持ってこれからも執筆させて頂きます!(笑) (2020年7月29日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
ミズノキ - ナニコレサイコー天才ですねおそらまめさんは天才\(^-^)/ (2020年7月27日 16時) (レス) id: fc17fb6cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2019年12月25日 7時