33−不死川さんの様子がおかしい ページ33
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「…〜あの晩一体何をやらかしましたかっ?
私お酒を飲むと下戸になる様で…! というより今更ですが申し訳ございませんっ」
「謝んなァ。寧ろ年頃の女の家に許可も無く入った俺の方が悪いわ」
「そ、そんな事ないです!」
「……しかし、あの日の事を本当に覚えてねェもんなァ」
「…ひっ…私本当に一体どんな失礼な事を…!」
男性に家に上がられた羞恥心よりも上司におぶらせた事への罪悪感の方が勝って平謝りする。
喉を鳴らす笑い声が聞こえて、顔を上げると猫みたいな悪戯っぽい笑みが私を見ていた。
「――…桜田ァ。俺に何か言うことあんじゃねェのかァ?」
「……っ! えっ、と、」
「…んー? 上司に言えねェ事でもあんのか?」
「…っっ…職権、乱用です、ぅ…!」
普段からは想像も出来ないくらい甘くて色っぽい顔で私を射止める。
そしてその努力の手は、今はやらしく私の顎を撫でる。
段々近づいてくる顔に耐えきれなくなって、私は俯いて「い、言いますから…!」と半ば投げやりに告げた。
「…その……不死川さんが、」
「…ん」
「……私、えっと…」
「―……さーん、にー」
「えっちょ、ちょっと待って! まだ…!」
数を数えた不死川さんが、「いち」の声と一緒に私の後頭部に手を回して引き寄せた。
彼の顔が視界を埋めて、確かに伝わる唇の熱を感じて嬉しさに目尻から涙が溢れた。
ゆったりとした動作で唇が離される。
こつん、と額をくっつけて私を見つめる不死川さん。
「……好きです、不死川さん」
不死川さんは今まで見た事無いくらい愛しい笑顔でくしゃっと笑った。
そして私の目蓋に唇を落として、もう一度荒々しくも愛のある口づけを私にしてくれた。
「遅ェよ」
この手が…この顔が、この人が好きだ。と一つ口に出してしまえば次から次へと溢れ出て私はしばらく彼の首にしがみついて離れなかった。
死んだ兄と何処か似てるのか__今度私の家族の事も伝えたいなぁ。
「……不死川さん」
「何だァ」
「今度は絶対に不死川さんを守ります」
目を丸くする不死川さん。かと思うと、それはすぐに「俺が言うとこだろォ」と心なしか嬉しそうな笑みに変わった。
頭をさらりと撫でられる。
無意識に惹かれていたこの手は今は私だけに触れる。
「死ぬ程愛してやるから覚悟しろよォ」
不死川さんの様子がおかしい
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k - あ、はいもう好きです。こんな恋愛したいですわ(?) (6月16日 0時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - ( ☆∀☆)実弥と恋仲になれて、しかも妊娠なんて(*≧∀≦*)幸せ!一推しなのでキュンキュンしました\(^-^)/ 続編とても読みたいです、 (2021年3月15日 0時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - ひぃぃえぇぇぇ、さねみんかっこよすぎて辛いです天才です大好きです私は何回でも言いますおそらまめさんだいすき… (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ミズノキさん» ミズノキ様コメントありがとうございます!うわああ嬉しいです…!全然天才なんかじゃありませんが、自信を持ってこれからも執筆させて頂きます!(笑) (2020年7月29日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
ミズノキ - ナニコレサイコー天才ですねおそらまめさんは天才\(^-^)/ (2020年7月27日 16時) (レス) id: fc17fb6cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2019年12月25日 7時