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25−愛し ページ25

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不死川さんが大量の血を吐き出して、地面がびちびちと黒く塗れる。

何で。なんで。

鬼がその様子を見てにんまりと目を細めた。





「痛いよねぇ? 大丈夫僕が今すぐ喰って、…」

「……」





「アレ?」鬼が声を洩らした。
それは些か焦りの感情が見える。

腕を彼から引き抜こうとするが、どうやら抜けない様だ。鬼から笑みが消える。





「お前……筋肉で、…離せ!!」

「漸く捕まえたぜ餓鬼がァ…」

「何でその怪我で動ける…!? 脇腹を貫いてるのに!」

「テメェを捻じ切る為なら内臓の一つ位くれてやるよォ!」





_風の呼吸





断末魔と共に落ちる鬼の頸。
それと一緒に不死川さんが刀を収めて、そのままふらりと倒れる。


慌てて支えても、手は冷たく未だ傷口から大量の血が溢れる。

死んじゃう。不死川さんが居なくなる。





「不死川さん…っどうして、私なんか…!」

「そんな言い方すんじゃねェ…っゲホ、」

「…っ一番近い藤の家まで行きましょう!」

「いい…鎹烏を飛ばせ…」





「…お前も怪我してんだろォ」なんて私の心配。
不死川さんが苦しそうに呼吸をしている。
ぎゅう、と強く彼の手を握ってもその手は冷たくなるばかりで。

止血の仕方も知らない私はただ彼と目を合わせて泣くしか能がなかった。

私の傷口に震える手で触れる。
だけど、自身の脇腹が痛むのか苦痛に顔を歪ませた。





「不死川、さん…! やっぱり今すぐ手当てを…!」

「…もう少しだけ、このままが…いい
お前と…二人だろォ…ハ、」

「なに、言ってるんですか…っ」





弱々しく彼は私の手を握り返す。
こんな時に何を言ってるんだ。…何で、最後みたいな言い方するの。

冷たくした癖に…。もう、私の事なんとも思っていない癖に…。





「…っそんな勘違いする言い方しないでください…!」

「…、桜田、」

「どうして…最後みたいな言い方するんですか!
私だって…っ!」

「お前……」

「もう少しなんて言わないでよ…ッ
私はずっと不死川さんと居たい…!!」





私の涙が不死川さんの白い顔に落ちる。
そんな事お構いなしに自分でも何を口走っているのかわからないぐらい錯乱していた。


すきだ。この人がどうしようもないほど好きだ。





「死なないでください不死川さん…!!
居なくならないで……ッ、側にいてよ…」

「……っ、」





その瞬間、私は彼の腕の中にいた。





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k - あ、はいもう好きです。こんな恋愛したいですわ(?) (6月16日 0時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - ( ☆∀☆)実弥と恋仲になれて、しかも妊娠なんて(*≧∀≦*)幸せ!一推しなのでキュンキュンしました\(^-^)/ 続編とても読みたいです、 (2021年3月15日 0時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - ひぃぃえぇぇぇ、さねみんかっこよすぎて辛いです天才です大好きです私は何回でも言いますおそらまめさんだいすき… (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ミズノキさん» ミズノキ様コメントありがとうございます!うわああ嬉しいです…!全然天才なんかじゃありませんが、自信を持ってこれからも執筆させて頂きます!(笑) (2020年7月29日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
ミズノキ - ナニコレサイコー天才ですねおそらまめさんは天才\(^-^)/ (2020年7月27日 16時) (レス) id: fc17fb6cfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2019年12月25日 7時

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