23−鬼との遭遇 ページ23
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日が完全に沈み、森は闇に包まれる。
暗視するのは慣れているが、今日は不死川さんと一緒で少し気が楽だ。
その本人は恐らくとても嫌そうにしているのだけれど。
ザリ、
「…!」
「……」
__私達のものではない足音が、確かに聞こえた。
姿勢を低くして不死川さんも私も柄に手をかけて辺りに集中する。
刹那、風を切るようにこちらへ集中する影。
すかさず刀を抜いたのは不死川だった。
「やっとお出ましかァ…待ちくたびれたぜェ…!!」
「アレ? 僕結構速さには自信あったんだけどぉ
…どうして着いてこれたんだろう」
「アァ? ごちゃごちゃ言ってんじゃねェよ」
「もしかして君…柱かなぁ? 強そうな匂いがする」
……遂に出てきた、鬼。
私今何も対応できなかった。
気が付いたら不死川さんが抜刀していて、それをこの目の前にいる鬼_下弦の淕にばつ印を刻印された_が避けたのだと思う。
そしてその鬼は私を見て不気味に目を細めた。
「……あぁ、だよねぇ。"只の"鬼狩りは僕の速さに驚くよねぇ。よかったぁ」
「……ッお前、!」
「アレレレ? いつまで同じ格好してるのぉ?
早く抜かないと…食っちまうよ」
「…っ!?」
「桜田ァ!」
またも風切音が聞こえたと思うと、もう私の背後にはその鬼が居て。私の両肩に手を置いて抱きしめるように顔を覗かれた。
あまりの速さに動揺して抜刀する。
すると此奴は「遅いなぁ」なんて可笑しそうにケラケラと笑った。
「どうしたのかなぁ? 震えてるけど」
「……ッく、」
「かんわいいなぁこういう女。散々痛ぶって愛してあげたいよぉ」
「…ッらぁっ!」
「おい桜田ァっ」
「ふふふふっ! 可愛いなぁ! 美人な女が恐怖で顔を歪むのが僕のせいだなんて考えたら…嗚呼、興奮するよぉ…っっ」
「ッっあ!!」
震える手で刀を振るが相手は餓鬼を相手にしているかのように私を揶揄いながら避ける。
狂人ともとれる佇まいに臆した時、私の肩は鬼の攻撃を許してしまった。
「〜〜っ…! あ"ぁぅっ!」
鬼の指が私の肩を貫いて、直後肩から下を爪で抉られる。
悲痛に叫んだ私の声は鬼の興奮を昂まらせてしまう。
振り下ろされる爪を見て泣け無しの抵抗を、と刀を構えたのだが……。
キィン、__!!
「お前…俺の背中を見て強くなんだろォ」
「しなずが、さ」
「だったら大人しく俺を見てろや…!」
私は逞しい腕に抱き抱えられていた。
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k - あ、はいもう好きです。こんな恋愛したいですわ(?) (6月16日 0時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - ( ☆∀☆)実弥と恋仲になれて、しかも妊娠なんて(*≧∀≦*)幸せ!一推しなのでキュンキュンしました\(^-^)/ 続編とても読みたいです、 (2021年3月15日 0時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - ひぃぃえぇぇぇ、さねみんかっこよすぎて辛いです天才です大好きです私は何回でも言いますおそらまめさんだいすき… (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ミズノキさん» ミズノキ様コメントありがとうございます!うわああ嬉しいです…!全然天才なんかじゃありませんが、自信を持ってこれからも執筆させて頂きます!(笑) (2020年7月29日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
ミズノキ - ナニコレサイコー天才ですねおそらまめさんは天才\(^-^)/ (2020年7月27日 16時) (レス) id: fc17fb6cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2019年12月25日 7時