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予定調和 ページ39

【渉side】

ーーーこんなに上手くいくとは思わなかった。


これが正直な感想だった。

零もAさんも・・・とても優しい心の持ち主だ。
どちらも自分の周りにある全てのものを大事にしようとする。
それはとても素晴らしい事だ。


でも、それが自分を苦しめる枷になる事がある。
零に至っては、その優しさが英智に潰されるきっかけになってしまった。

私は、Aさんが好きになっていた。

最初はいつも1人でいる彼女が気になっただけだった。

自分を閉じ込め、『いい子』を演じている彼女が。
自分も演じている身だ。同じ演者として気になった・・・本当に、それだけだったのに。


だんだん自分に対して心を開いてくれる彼女に、次第に惹かれていった。

でも零を紹介した日から、何かが少しずつ変わっていく。

零が彼女に好意を寄せ始めた事は、すぐに分かった。
そして、彼女もおそらく零の事は嫌いではないだろう。

それが分かってしまった。

2人が結ばれれば、ハッピーエンド。

私はそれが許せなかった。

先に好きになったのは私なのに。

だから、零の吸血鬼衝動を煽るような言動を織り交ぜていた。

自分は人間じゃない。吸血鬼だ。

常にその自覚を持ってもらうようにしていた。

何かしらのきっかけで零が無理やり吸血すれば、2人の関係は壊れる。

そう考えた。よくよく見直すと単純な考えだが、あっさりと上手くいった。

何がきっかけかはまだ知らないが、彼は吸血をしていた。
偶然立ち寄った軽音部の部室で彼女が倒れているのを見た時は、あまりの順調さに大声で笑いそうになった。

そこから先は早かった。

さっそく2人は気まずくなり、私は零に「捨てる事も覚えろ」などや「人間と吸血鬼を同時に演じる事は出来ない」といった事を伝え、零が彼女から離れるように仕向けた。


零は自分の思い通りに動いてくれた。

今頃、彼女に別れの挨拶でもしているのだろうか。



ああ、私は本当に卑怯だ。


醜い道化師だ。

でも、彼女には嫌われたくないから。

だから、演じよう。

綺麗な道化師を。

幕間→←無理に作った笑顔で2



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ユミカ?(プロフ) - 朱蝶さん» まさか私の作品を読んでくださるなんて!ありがとうございます!朱蝶様の作品に比べたら全然駄作ですが、更新頑張ります♪もうすぐ豹変するので楽しみにしててくださいw (2016年9月2日 21時) (レス) id: adf92d0f83 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - コメント失礼します。読みやすくてさくさく進みます!そして吸血衝動で豹変する零が楽しみでなりません!笑 更新頑張ってください!(*´罒`*) (2016年9月2日 20時) (レス) id: cf009a00ba (このIDを非表示/違反報告)
ユミカ(プロフ) - ヴァリさん» コメントありがとうございます★読みやすいなら良かったです!まだまだな文才ですが、これからも更新頑張るのでぜひ読んでください! (2016年8月23日 23時) (レス) id: 424560f613 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァリ(プロフ) - コメント失礼します♪とても読みやすい小説ですね!更新楽しみにしています! (2016年8月23日 23時) (レス) id: b85a4ac4b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユミカ | 作成日時:2016年8月20日 23時

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