始まり ページ17
【零side】
保健室の扉の前で軽く深呼吸をする。
殺意に溢れていた自分を閉じ込めるために。
彼女の前ではいつも通りの自分でいなければ。
渉は「用事を思い出したので帰ります。Aさんの事頼みましたよ。」と言って帰ってしまった。
渉はよく分からない。こんな性格を知っても普通に接してくる。
言動も理解出来ない事があるし、彼は普通ではない。
「って、俺も普通じゃないか・・・」
自嘲気味にポツリと呟いた後、扉を開く。
Aはベッドに腰掛けていた。
ぼんやりしている様子だったが、すぐに俺に気づいた。
「零・・・」
何か言おうとしているが、言葉が続かないようだ。
よく見ると、身体は震えているし、若干涙目だ。
その姿を見て、さっき彼女を襲った奴らに対する怒りが再びわいてきた。
それと同時に・・・
「・・・っ、れ、零?」
自分が守らなくては、という思いも強くなった。
そして、後悔の念も。
今、俺はAを抱きしめている。
「すまんかった。女子が夜遅くに学校に残るとなると、このような事が起こるというのも想像出来るはずじゃった。今日お主が残る事も知っておったのに・・・守ってやれなくて、怖い目に遭わせてしまって本当我輩は情けないのう・・・」
男子だらけの学科に1人の女子・・・
それがどういう危険を伴うか、簡単に分かる。
彼女を1人にしなければ、怖い思いをさせる事もなかったのに。
「零は・・・零は悪くないよ。だって助けに来てくれたじゃない。襲われたのは、私の警戒心が足りなかったせいでもあるよ。確かに怖かったけど、嬉しいよ。零と渉が助けてくれなかったら、私どうなってたか・・・だから、ありがとう。」
身体を少し離して、こちらに微笑みかける彼女。
その笑顔は、綺麗だった。
ああ、俺はやっぱり。
恋をしてしまったのだ、Aに。
曖昧だったが、たった今確信に変わった。
この時に気づくべきだった。
恋なんてしてはいけない事に。
人間の血を貪るだけの吸血鬼に、恋なんて出来るわけないと。
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ユミカ?(プロフ) - 朱蝶さん» まさか私の作品を読んでくださるなんて!ありがとうございます!朱蝶様の作品に比べたら全然駄作ですが、更新頑張ります♪もうすぐ豹変するので楽しみにしててくださいw (2016年9月2日 21時) (レス) id: adf92d0f83 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - コメント失礼します。読みやすくてさくさく進みます!そして吸血衝動で豹変する零が楽しみでなりません!笑 更新頑張ってください!(*´罒`*) (2016年9月2日 20時) (レス) id: cf009a00ba (このIDを非表示/違反報告)
ユミカ(プロフ) - ヴァリさん» コメントありがとうございます★読みやすいなら良かったです!まだまだな文才ですが、これからも更新頑張るのでぜひ読んでください! (2016年8月23日 23時) (レス) id: 424560f613 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァリ(プロフ) - コメント失礼します♪とても読みやすい小説ですね!更新楽しみにしています! (2016年8月23日 23時) (レス) id: b85a4ac4b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユミカ | 作成日時:2016年8月20日 23時