検索窓
今日:24 hit、昨日:10 hit、合計:47,665 hit

始まり ページ17

【零side】

保健室の扉の前で軽く深呼吸をする。
殺意に溢れていた自分を閉じ込めるために。
彼女の前ではいつも通りの自分でいなければ。

渉は「用事を思い出したので帰ります。Aさんの事頼みましたよ。」と言って帰ってしまった。

渉はよく分からない。こんな性格を知っても普通に接してくる。
言動も理解出来ない事があるし、彼は普通ではない。


「って、俺も普通じゃないか・・・」

自嘲気味にポツリと呟いた後、扉を開く。

Aはベッドに腰掛けていた。

ぼんやりしている様子だったが、すぐに俺に気づいた。

「零・・・」

何か言おうとしているが、言葉が続かないようだ。
よく見ると、身体は震えているし、若干涙目だ。

その姿を見て、さっき彼女を襲った奴らに対する怒りが再びわいてきた。

それと同時に・・・




「・・・っ、れ、零?」


自分が守らなくては、という思いも強くなった。
そして、後悔の念も。
今、俺はAを抱きしめている。

「すまんかった。女子が夜遅くに学校に残るとなると、このような事が起こるというのも想像出来るはずじゃった。今日お主が残る事も知っておったのに・・・守ってやれなくて、怖い目に遭わせてしまって本当我輩は情けないのう・・・」

男子だらけの学科に1人の女子・・・
それがどういう危険を伴うか、簡単に分かる。
彼女を1人にしなければ、怖い思いをさせる事もなかったのに。


「零は・・・零は悪くないよ。だって助けに来てくれたじゃない。襲われたのは、私の警戒心が足りなかったせいでもあるよ。確かに怖かったけど、嬉しいよ。零と渉が助けてくれなかったら、私どうなってたか・・・だから、ありがとう。」

身体を少し離して、こちらに微笑みかける彼女。

その笑顔は、綺麗だった。


ああ、俺はやっぱり。

恋をしてしまったのだ、Aに。

曖昧だったが、たった今確信に変わった。


この時に気づくべきだった。

恋なんてしてはいけない事に。

人間の血を貪るだけの吸血鬼に、恋なんて出来るわけないと。

とあるおとぎ話1→←最初の覚醒



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
68人がお気に入り
設定タグ:朔間零 , 日々樹渉
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユミカ?(プロフ) - 朱蝶さん» まさか私の作品を読んでくださるなんて!ありがとうございます!朱蝶様の作品に比べたら全然駄作ですが、更新頑張ります♪もうすぐ豹変するので楽しみにしててくださいw (2016年9月2日 21時) (レス) id: adf92d0f83 (このIDを非表示/違反報告)
朱蝶(プロフ) - コメント失礼します。読みやすくてさくさく進みます!そして吸血衝動で豹変する零が楽しみでなりません!笑 更新頑張ってください!(*´罒`*) (2016年9月2日 20時) (レス) id: cf009a00ba (このIDを非表示/違反報告)
ユミカ(プロフ) - ヴァリさん» コメントありがとうございます★読みやすいなら良かったです!まだまだな文才ですが、これからも更新頑張るのでぜひ読んでください! (2016年8月23日 23時) (レス) id: 424560f613 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァリ(プロフ) - コメント失礼します♪とても読みやすい小説ですね!更新楽しみにしています! (2016年8月23日 23時) (レス) id: b85a4ac4b7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユミカ | 作成日時:2016年8月20日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。