黒笑 ページ45
試合当日。現在時刻、午前6時。
私たちは制服に着替え、学校に向かっていた。
試合会場までは、どうやらバスに乗っていくみたい。
お母さんとお父さんは、車に乗って後から来るらしい。
私は今、充と光と登校中。
『試合、頑張ってね。二人とも』
「任せてよ、絶対勝つから」
光が笑って言うと、充も頷いた。
「Aも応援、頼んだからな」
もちろんだよ。
マネージャーとして、しっかり応援しなきゃね。
頑張るぞっ！
学校に着くと、既に何人かは校門の前に集合していた。
もちろん、この人も。
「やあ、おはよう。紅月さん、充くん、光くん」
一番最初に挨拶をしてくれたのは、やっぱり野坂先輩。
さすがキャプテンだよね。
「おはようございます、野坂さん」
光が嬉しそうに笑って、野坂先輩に挨拶を返す。
『おはようございます、野坂先輩』
それにならい、私も挨拶を返した。
充はというと、ぺこりと小さくお辞儀をしただけ。
どうしたんだろ。
「あはは。相変わらずだね、充くん」
だけど野坂先輩は、充の態度に少し笑うだけ。
なんにも気にしていないように見える。
慣れてるのかな。
そう思っていると、光がこっそり耳打ちしてくれる。
「兄ちゃん、いつもあんな感じなんだ。まあ野坂さんたちにとっては慣れてるらしいし、何も問題はないんだけどね」
説明ありがと。
まあ、あんまり充は爽やかに挨拶をするって感じではないんだよね。
自分だけが思ってることかもしれないけど。
「さてと。あと来ていないのは、竹見だけかな」
もう時間は過ぎてるんだけどなー、と野坂先輩はどこかわざとらしく言った。
なんか企んでる顔してる。
と、
「遅れてごめん！」
どこかで声が聞こえたかと思うと、竹見先輩が猛ダッシュしてきていた。
こちらに到着すると、膝に手を当てて息を整える。
相当走ってきたみたい。
「遅いじゃないか竹見。2分47秒の遅刻だよ、一体これはどういうことかな？」
「ご、ごめんって野坂くん！」
笑顔で迫る野坂先輩と、それから逃れようとする竹見先輩。
野坂先輩はにこにこしているけど、その笑顔が逆に怖く感じる。
「寝坊しちゃったんだよ、つい二度寝して...」
あ、そんなこと言ったら...。
「試合当日に二度寝するなんて、いい度胸じゃないか。まあ、今日は期待してるよ、竹見」
そう言って野坂先輩は、にっこり笑ったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Flow(プロフ) - コメント欄の下の方に荒ぶる受験終わりがいる(語彙力) お久しぶりですにゃんたまファシルさん。 しばらく読んでなかったんですが、めっちゃ増えてて驚きました(*^^*) これからも頑張ってください(私が誰かは察して下さいな) (2020年7月11日 9時) (
レス) id: d234e6b38d (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - 杳覇さん» ぎゃーっ！え、もう嬉しすぎます！まじでホントにありがとうございます(語彙力)更新頑張らせてもらいますっ！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初コメ失礼します！他にない状況設定、主人公ちゃんの無理のない性格、魅力的なオリキャラとどれをとっても文句のない、めっちゃ面白い作品ですね！！一星兄弟や野坂くん達も良い味出しててキュンときました！お体に気をつけて、更新頑張って下さいね！！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - りら。さん» ありがとうございます！いやいや、あなたの作品もいいと思いますよ！誰も見ないならこの私が見ます((( (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - あかりさん» 大体な野坂くんもいいですよね (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
