不思議 ページ5
「今だって、Aがなにを思っているのか。大体はわかるよ」
完璧じゃないけどな、と充は呟いた。
私は思わず笑った。
『ありがとう、充』
そう言って、私も彼の背中に腕を回し、ギュッと抱き返す。
すると、
「お前は、一人じゃないよ」
『！』
「なにがあっても俺たちがいる、俺たちは味方でいる。お前を、一人になんかさせない。絶対に」
まるで心の中を読んだかのように、充は私の耳元で小さく呟いた。
そして、少し抱きしめる力を強める。
一方、私は彼の言葉に驚いていた。
今まさに、私が言ってほしかった言葉。
その言葉を今、彼が言ってくれた。
どうして...、なんでわかったんだろう。
『....っ』
なにも、言えなくなった。
というより、なんて言えばいいのかわからなかったんだ。
もっと、ありがとうって言いたいのに...。
まるで喉の奥に、なにかが引っかかっているみたい。
言葉にできないかわりに、私はありがとうの気持ちを込めて、彼をめいっぱい抱きしめた。
彼は、とても温かい。
抱きしめた時の体も、言葉も、行動も、表情も。
なぜかこうしていることで、安心する。
そして彼もまた、そんな私の頭を撫でてくれる。
しばらくして、
「...A」
彼は静かに、私の名前を呼んだ。
自然とお互いに体を離す。
的のように青くて丸い瞳が、私の姿をとらえる。
彼の目は、とても綺麗だった。
『み、つる...』
彼が私の頬に、片手を当てる。
もう片方の手は、私の後頭部に当てられる。
私は思わず息を飲んだ。
緊迫する雰囲気の中で、私は彼を見つめる。
なぜか彼から、視線を放すことができない。
しかも、なんだか頭がふわふわする。
なんだろう、この気持ち。
ぼーっ、としていると、彼がゆっくりと顔をこちらに近づけてくる。
私は抵抗しなかった。
それどころか、糸で引き付けられているかのように彼と同じようにゆっくりと顔を近づけていく。
なぜなのかは、自分でもよくわからない。
だけどこのまま進んでいってしまったら、今の関係が崩れてしまうような気がする。
あくまで、私たちは姉弟だ。
こんなことをしちゃダメなのに。
止めなくちゃいけない。
そうわかっていても、無意識に体が動く。
そして、お互いの唇が触れる直前になった__
___その時。
「なにやってるの、二人とも」
私と充以外いないはずのリビングに、第三者の声が響いた。
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Flow(プロフ) - コメント欄の下の方に荒ぶる受験終わりがいる(語彙力) お久しぶりですにゃんたまファシルさん。 しばらく読んでなかったんですが、めっちゃ増えてて驚きました(*^^*) これからも頑張ってください(私が誰かは察して下さいな) (2020年7月11日 9時) (
レス) id: d234e6b38d (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - 杳覇さん» ぎゃーっ！え、もう嬉しすぎます！まじでホントにありがとうございます(語彙力)更新頑張らせてもらいますっ！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初コメ失礼します！他にない状況設定、主人公ちゃんの無理のない性格、魅力的なオリキャラとどれをとっても文句のない、めっちゃ面白い作品ですね！！一星兄弟や野坂くん達も良い味出しててキュンときました！お体に気をつけて、更新頑張って下さいね！！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - りら。さん» ありがとうございます！いやいや、あなたの作品もいいと思いますよ！誰も見ないならこの私が見ます((( (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - あかりさん» 大体な野坂くんもいいですよね (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
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