姫 ページ36
「個人的な用事なら、今日はもう受け付けないよ。明日の試合のために練習があるからね。じゃあ行こうか、紅月さん」
『え、あ、はい』
背中に手を当てられ、そのまま誘導するかのように私と戻ろうとする野坂先輩。
すると、
「野坂先輩。なんでそいつがサッカー部にいるか、理由を話してください」
その言葉に、野坂先輩は立ち止まる。
そして、くるりと振り返って言った。
「この子は僕らの姫さ。サッカー部にとって、高嶺の花のような存在だよ」
「ひ、姫！？」
彼女たちが驚くのも無理はない。
だって、私自身だって驚いているのだから。
「君たちが思っているような関係ではないよ。だけどもし、次にこの子に手を出したら、サッカー部のみんなが黙っていないよ。もちろん僕もね」
そして最後にニッコリと笑う。
だけど、威圧感がすごい...。
そんな表情も少しカッコよくて、私はつい見惚れる。
「っ、わかりました。では失礼します」
その威圧感に怯んだのか、彼女たちは去っていった。
私はというと、彼の横でぽかんと口を開けていた。
と、
「さて、今度こそ戻ろうか。紅月さん」
野坂先輩が、私の顔を覗き込んできた。
ち、近すぎるっ！！
『な、なんであんなこと言ったんですか...？』
顔が赤くなっているのを誤魔化すために、私はそう問いかける。
だが、彼は表情を変えずに即答する。
「僕はただ、思ったことをそのまま言っただけさ。それに、僕らの大切なマネージャーを傷つける人は嫌いだからね」
そう言って、ぽん、と頭に手を置いてくる。
男子って、こんなに恥ずかしいことを普通にできるものなの？
それとも、これは野坂先輩だから？
うーん、謎だ。
「それに、僕は君が...」
え？
なにかを言いかけた先輩だったが、すぐに口を閉じる。
そして、なにごともなかったかのように私の手を取って歩き出す。
「あとはフォーメーションを確認するだけだから、もうすぐ終わるよ。あと少しだけ頑張ってくれ」
『は、はい』
返事をしてから、お礼を言っていないことに気がついた。
背を向けたままの彼に、私は言った。
『野坂先輩。さっきは助けてくれて、ありがとうございました』
そう言うと、先輩は足を止めてこちらを振り向いた。
なんとなく彼に、ニコリと微笑んでみる。
すると、
「...あぁ」
先輩がわずかに目を見開き、短い返事をして再び歩き出した。
だけど、気のせいかな。
彼の耳が、少し赤くなっているように見えるのは。
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Flow(プロフ) - コメント欄の下の方に荒ぶる受験終わりがいる(語彙力) お久しぶりですにゃんたまファシルさん。 しばらく読んでなかったんですが、めっちゃ増えてて驚きました(*^^*) これからも頑張ってください(私が誰かは察して下さいな) (2020年7月11日 9時) (
レス) id: d234e6b38d (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - 杳覇さん» ぎゃーっ！え、もう嬉しすぎます！まじでホントにありがとうございます(語彙力)更新頑張らせてもらいますっ！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初コメ失礼します！他にない状況設定、主人公ちゃんの無理のない性格、魅力的なオリキャラとどれをとっても文句のない、めっちゃ面白い作品ですね！！一星兄弟や野坂くん達も良い味出しててキュンときました！お体に気をつけて、更新頑張って下さいね！！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - りら。さん» ありがとうございます！いやいや、あなたの作品もいいと思いますよ！誰も見ないならこの私が見ます((( (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - あかりさん» 大体な野坂くんもいいですよね (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
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