彼らの気持ちに答えたい ページ17
昼食を終えて、それぞれの教室に戻る。
今度は誰にも見られてないから大丈夫、だよね？
「A」
名前を呼ばれ、振り向く。
「どうかしたの？顔色悪いけど、大丈夫？」
光だった。
心配そうな表情で、私を見つめている。
そんなに顔色悪かったのかな？
『うん、大丈夫だよ。ありがと、光』
「ならいいんだけど...」
だけど、少し納得がいかない表情をしている。
そして、
「教室行こう。俺もついてくから」
「俺もいく」
え？
急に、そんなことを言い出した。
「俺と兄ちゃんはどうせ隣のクラスだし、大丈夫だよ」
『で、でも...』
もしみんなに見られたら大変なことになるよ。
『やっぱりいいよ。光にも充にも、心配かけたくないし』
そう言うと、光はため息をついた。
「あのさ、A」
『うん？』
「Aが俺たちのことを思ってくれるのは、すごく嬉しいよ。だけど、俺たちだってAのことを思ってる。だからさ、今は俺たちに送らせてよ。教室まで」
なにかあったら困るんだ、と光は優しく微笑んだ。
「Aの気持ちは、ちゃんとわかってるつもり。その気持ちは俺も尊重する。だって、人が人を思うって、素晴らしいことなんだからさ」
その言葉に、私は目を見開いた。
私が彼らを思っているように、
彼らもまた、私のことを思ってくれている。
全部自分で抱え込んだり我慢するんじゃなくて、
時には誰かに頼るのも、大切なのかもしれない。
それに今断ったら、彼らの気持ちを踏みにじることになってしまう。
それは絶対に避けなければいけないことなんだ。
私は一人じゃない。だから、
『あの、』
私は、
『もし二人がいいって言うなら、』
大切な二人の気持ちに、
『私、教室まで送ってもらいたい』
真剣に、答えたい。
『いい、ですか？』
二人を見上げて、そう言ってみる。
二人は少し驚いたように目を見開いていたが、
やがて、ふっ、と静かに笑った。
「よし、送ってやろう」
俺様発言をした充は、わしゃわしゃと私の髪を乱暴に撫でて、ニカッと笑った。
「もう、兄ちゃん。Aの髪ボッサボサだよ」
不満そうに口をとがらせた光は、私の髪を丁寧に整える。
「よし、できた。教室行こう、A」
光もまた、にこりと微笑みかけてくれる。
この二人の笑顔を見ると、なぜかとても安心するんだ。
なんでだろうね。
『うん！』
私は大きく頷いて、二人と一緒に教室に向かった。
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Flow(プロフ) - コメント欄の下の方に荒ぶる受験終わりがいる(語彙力) お久しぶりですにゃんたまファシルさん。 しばらく読んでなかったんですが、めっちゃ増えてて驚きました(*^^*) これからも頑張ってください(私が誰かは察して下さいな) (2020年7月11日 9時) (
レス) id: d234e6b38d (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - 杳覇さん» ぎゃーっ！え、もう嬉しすぎます！まじでホントにありがとうございます(語彙力)更新頑張らせてもらいますっ！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
杳覇(プロフ) - 初コメ失礼します！他にない状況設定、主人公ちゃんの無理のない性格、魅力的なオリキャラとどれをとっても文句のない、めっちゃ面白い作品ですね！！一星兄弟や野坂くん達も良い味出しててキュンときました！お体に気をつけて、更新頑張って下さいね！！ (2020年6月14日 22時) (レス) id: 37d55cd9aa (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - りら。さん» ありがとうございます！いやいや、あなたの作品もいいと思いますよ！誰も見ないならこの私が見ます((( (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたまファシル(プロフ) - あかりさん» 大体な野坂くんもいいですよね (2020年5月18日 12時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
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