290 わがまま ページ29
光「Aさんも、行くんですか？」
キュッ、とユニフォームの裾を掴んだまま、光くんは捨てられた子犬のような目で私を見つめる。
そんな私達に気づかぬまま、明日人たちはアメリカの偵察に行くメンバーを募集している。
『どうしたの？』
光「俺のわがままって……わかってるんですけど……」
唇を噛みしめ、光くんは不思議そうにしている私に言った。
光「今は一緒に……居てほしい、です……」
『光くん……』
私が迷っていると、もう一度問いかけられる。
明日人「Aはどうするの？」
野坂「行かないのかい？」
二人に問いかけられ、私は少し考えて言った。
『私はやっぱり、遠慮しておくよ。あんまり関わりもないし、ちょっと疲れちゃったからね』
そう言ってペロッ、と舌を出して笑うと「そっか」という明日人の少し残念そうな声が聞こえた。
野坂「まあ、疲れたのなら仕方ないからね。夜まではフリーだし、ゆっくり休みなよ」
『うん、ありがとう』
結局、アメリカの偵察に行くのは明日人に円堂さん、野坂くんと灰崎くん、それから豪炎寺さんの5人になった。
5人がバスに乗って行くのを見送り、私は宿舎に戻る。
光「Aさん」
『あ、光くん』
廊下を歩いていると、光くんが小走りで近寄ってきた。
私は足を止めて、振り返る。
光「さっきはすみません。俺のわがまま、聞いてもらっちゃって……」
『大丈夫だよ。関わりがないってことは本当だし、疲れてるのも嘘じゃないからね』
そう言って軽く笑ってみせると、光くんも安心したように笑った。
『光くんはどうするの？』
光「俺はアメリカ代表について、少し調べてみることにします」
タブレット端末を手に持ち、頼もしそうに笑ってみせた光くん。
そんな彼の姿を見て、私はある考えが浮かんで口にした。
『じゃあ、私は差し入れかなにか作ってくるよ！なにがいい？』
光「えっ！そ、そんなの悪いですよ！」
片手と首をぶんぶん振って否定する光くんだけど、私はニッコリ笑って言った。
『私がやりたくてやるんだからいいの。それに、頑張るときに糖分補給は必要だから、ね？』
光「わ、わかりました///」
ずいっ、と顔を近づけて念押しすれば、光くんは一気に顔を赤らめる。
『よし！じゃあ、なにがいい？なんでも作るよ』
光「えっと……Aさんが作るなら、なんでもいいですよ」
少し迷ったあと、光くんは照れたように笑って答えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
姫川ふぶき - 円堂死なないで(泣）青鬼ゲームをだんだん見たら円堂が青鬼に手で死んだので悲しかったです！円堂が死んだなんて嘘だよね？何で円堂を死なないといけないのねぇ教えてお願い！ずっと夜まで朝で泣いていましたけど、泣いたら駄目だと思っていました！けど結局泣きました (2020年4月25日 0時) (
レス) id: 3c4b53ac36 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 青鬼ゲームや君は私の一等星が更新されないのは悲しいけど、体調の方が大事ですからね！！早く治してください！お大事に！ (2019年10月29日 21時) (レス) id: 08c5f26fea (このIDを非表示/違反報告)
りん - 風邪しっかり治してくださいね！ (2019年10月29日 18時) (レス) id: 8b75577298 (このIDを非表示/違反報告)
Yニャン - みなさん» ですよね……！( ≧∀≦)ノ (2019年10月16日 21時) (レス) id: 0e74a4daf4 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - あぁ･･･光くんかわいい← (2019年10月16日 19時) (レス) id: 08c5f26fea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
