落ちた先はAPEXの戦場でした。 (ページ9)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:112 hit

9 ページ9

レイスside

返事を確認できたのでスッと部屋に入れば
布団を飛び出し抱きついてくる可愛い子。

「……私はレイス。あなたは？」

うるうると見上げる彼女の表情は
とても不安げで、明日を怖がり震えて
夜をやり過ごす子猫のようだった。

"なぜ自分がここに居るのか分からない"
そんなことを訴えるように。

『……A…』

伏せたまつ毛に涙が煌めき、
小さい声で彼女はつぶやく。

その弱々しい姿が目に、
心に焼きついてしまった。

「A…あなたは私が守るわ」

Aが抱えてる不安は
自分探しでここにいる私と
きっと似たものがあるだろう。

APEXゲームに入ったばかりの
当初は私も不安だった。

あの時の自分と重なるからこそ
この弱々しい子猫ちゃんを
放っておくことはできない。

『女神様…レイスって名前なんですね…！
助けてくれて、ありがとうございました…！」

眉をハの字にしてゴシゴシと目を擦り
気丈に振る舞うAの頭を
できるだけ優しく撫でる。

「…Aが戦場に降ってきた瞬間、
抱き上げたのが私でよかった(ボソッ)」