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one in two__30 ページ32

××







信長の為に戦う光秀が

義の為に戦う謙信の姿と重なる。


強くて、美しくて、敵わなくて。


そのときの嫌な感覚を覚えていた体が、震えだす。





光秀「織田軍の勝利の為に……死んでもらいます」





その声が、Aにはとても遠く聞こえた。



そして、刃から放たれた殺気が首へと向かう。


たくさんの感覚が、渦を巻くように彼女へ届く。




刃が反射した光


剣が切り裂いた風


死が迫り来る気配



そして




ズシャッ






–––––肉を斬る、鈍い音




光秀「……」




無言で見つめる光秀の目の前には


血の水たまりと

地面に突き刺さる自分の刀


そして





A「……下手くそ」





何かに突き動かされるように立ち上がる、Aの姿があった。



それは、本人でも無意識の、本能だった。



光秀の刀が彼女の頬をかすると同時に


動かないはずの体が

体を支えることのできない足が


迫り来る「死」を避ける。



本来あるべき場所を失ってしまった光秀の刀は

大きな音を立てて地面へ突き刺さった。





光秀「無駄なことを」





そう吐き捨てた彼の顔の色が、蒼を通り越してスーと引いていく。


本能のままに立つAの瞳が

彼をも恐れさせる恐怖を放つ。



どこか見覚えのある瞳。

それが何か、よく分からない。


けれど、それが神牙(この世界)にあってはならないものだと

光秀の本能がそう告げた。



そのとき–––––





光秀「……撤退、ですか」





光秀の後ろに、煙、即ち撤退の狼煙が上がる。



それを確認した光秀の顔は


少し怒りを含んでいたようにも

少し安心を含んでいたようにも見えた。





光秀「……どうやらここまでのようです。次に会ったときは確実に–––––貴方の命を頂戴します」





彼らしくもない乱れた声。


光秀はAを一瞥すると、剣を取り戻すこともなく足早に撤退した。



あと一撃で倒せればそうしただろうに

光秀はそれを不可能だと考えたのだ。




だが、残っていた伊達兵はすべて倒れ

その場に立っているのはAただ一人である。

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設定タグ:戦刻ナイトブラッド , 戦ブラ , 伊達軍   
作品ジャンル:アニメ
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結城心愛(プロフ) - 獅子さん» 応援していただけるなんて光栄です(〃ω〃)頑張ります! (2018年3月7日 13時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
獅子 - 毎回楽しみにしています!大変だと思いますが更新頑張って下さいね☆!応援しています!!! (2018年3月7日 3時) (レス) id: 2fe092422e (このIDを非表示/違反報告)
結城心愛(プロフ) - リーティアさん» もう本当に嬉しいです! !私って修羅場を書くのが好きみたいで……それを喜んでいただけるのはとても励みになります!ありがとうございます! (2018年3月6日 19時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
リーティア(プロフ) - 結城心愛さん!最近ほんとにドキドキする展開で続きが楽しみです!!!更新頑張ってください!応援してます (2018年3月6日 19時) (レス) id: b84fde6b58 (このIDを非表示/違反報告)
結城心愛(プロフ) - 氷菓さん» わぁ、嬉しいです(*'▽'*)ストーリー展開が下手くそな私ですが、頑張っていきたいと思います! (2018年3月6日 7時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結城心愛 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年1月8日 11時

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