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one in two__16 ページ18

××







小十郎「Aは厄魔を見たのは初めてか」

A「うん。戦中も散歩中も、運がいいのか悪いのかまだ一度も遭遇したことがないんだよね。これが初顔合わせ、ってところかな」





へらへらと笑う彼女にはまるで緊張感がない。


心配になりつつも小十郎は打刀に手をかける。

政宗も同様に戦闘態勢に入った。


だが、どういう訳か、

Aが太刀を構える気配が感じられない。





小十郎「A……?」

A「……え?ぁあ、うん」





Aは小十郎の声に押されるように

躊躇いながらもさらりと剣を抜き払った。


いつもと違う彼女の様子に小十郎は戸惑いを覚えたが

それを払拭する暇もなく厄魔が三人に襲いかかってくる。


それでもなお釈然としない小十郎に、





政宗「小十郎!」





見かねた政宗が怒号を飛ばせば

小十郎はさっと「家臣」の顔になった。



政宗と小十郎(ふたり)は、慣れた手つきで次々と厄魔を斃していく。

ほとんど手こずる様子も見せず、

まさに完封と言うべきか。


ものの数刻もかからずに、彼らの周りにいた厄魔は一蹴された。



だが、「これですべてか」と安心しかけたそのとき、

すぐ近くで焦りに似た叫びが耳をつんざく。





A「厄魔が……倒せない……!」





それは

小さい頃から毎日のように聞いてきた声で。



でも

初めて会ったときから一度も聞いたことのないような声で。




小十郎「っ、A……! !」





A____



そう叫ぼうとした小十郎の声は、


残忍な、湿った布を叩いたような音に引き裂かれた。



ザシュッ



それは、小十郎の心が作り出した幻影か。

はたまた、この場の戦いが生み出した虚像か。





政宗「A……っ」





駆け寄った政宗に降り注ぐ、

血の雨(ブラッド)



Aの振るった刃はすべて厄魔の体をすり抜け

焦りと驚きで身を支配されている隙に

厄魔の爪が彼女の体を引き裂いていた。





小十郎「……ぁ」






事実はどうあれ、小十郎の瞳にはそう映っていた。

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設定タグ:戦刻ナイトブラッド , 戦ブラ , 伊達軍   
作品ジャンル:アニメ
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結城心愛(プロフ) - 獅子さん» 応援していただけるなんて光栄です(〃ω〃)頑張ります! (2018年3月7日 13時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
獅子 - 毎回楽しみにしています!大変だと思いますが更新頑張って下さいね☆!応援しています!!! (2018年3月7日 3時) (レス) id: 2fe092422e (このIDを非表示/違反報告)
結城心愛(プロフ) - リーティアさん» もう本当に嬉しいです! !私って修羅場を書くのが好きみたいで……それを喜んでいただけるのはとても励みになります!ありがとうございます! (2018年3月6日 19時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
リーティア(プロフ) - 結城心愛さん!最近ほんとにドキドキする展開で続きが楽しみです!!!更新頑張ってください!応援してます (2018年3月6日 19時) (レス) id: b84fde6b58 (このIDを非表示/違反報告)
結城心愛(プロフ) - 氷菓さん» わぁ、嬉しいです(*'▽'*)ストーリー展開が下手くそな私ですが、頑張っていきたいと思います! (2018年3月6日 7時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結城心愛 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年1月8日 11時

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