one in two__35 ページ8
××
涙がほろりと零れ落ちた。
苦しみの末に流れる濁った涙ではなく
優しさと温かさに包まれる透き通った綺麗な涙が
絶え間なく。
A「……あのときと、全然違う。同じ人とは、思えない」
謙信「あのとき、とは、私とお前が戦ったときか」
A「……あのときの貴方は冷酷無比で、容赦も、優しさの欠片もなくて。勝てない、敵わない、殺される。その綺麗な白髪が風になびくのが、木々も人々も焼き尽くす炎の中に佇む姿が、すごく憎かった」
謙信「敵味方の関係だったのだ。当たり前だろう」
A「そう。今の貴方とは全然違くて……」
体中から湧いてくる感情が喉に突っかかって邪魔をしても
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、涙で声に嗚咽を混ぜながら
A「……でも……」
開いた襖の隙間から流れ込んできたそよ風が
美しい謙信の白髪と、綺麗なAの髪の毛をさらさらと揺らしていく。
A「……全然変わらない。あのときの貴方の剣戟は、瞳は、すごく清くて。今私の目の前にいる貴方は、優しくて温かくて……あのときの貴方も、今の貴方も、何も変わってない……」
謙信「……そうか」
謙信が微笑むのが、気配で分かった。
何かが満たされていく音がする
何かが埋まっていく匂いがする
A「……その、助けてくれて……ありがとうございます」
何も考えなくても、意図したわけではないけれど
自然と口から出た言葉。
どこか気恥ずかしかったのか、自分の言葉に頬を赤らめたAに
謙信はくるりと後ろを振り向いて、先程から部屋の手前で待機していた一人の男を招き入れた。
謙信「礼なら俺ではなくこの者に言ってくれ」
A「え、えっと……」
その人物とは、Aが目を覚ましたときに少し話した相手で
謙信を呼んできた者でもあった。
その男は長い睫毛を恥ずかしそうに揺らし、ゆっくりと部屋の中、そしてAの前まで歩いてきた。
「……僕は、上杉景勝。父上–––––上杉謙信の養子で、上杉軍の後継者……」
A「え、じゃあ次期上杉軍総大将、様……？」
謙信「景勝と、もう一人上杉軍の直江兼続という者が、お前が上杉軍の領内で倒れているのを見つけてな。
A「あ、ありがとうございます」
にこりと微笑めば、暗かった景勝の顔がほんの少しだけ笑っていた。
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結城心愛 - 紅華さん» そうですね……雑兵より断然強いのは当然として、主要キャラとはそこそこ戦えるものの勝つまでには至らない、といったところでしょうか？ (2018年8月11日 19時) (
レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - お疲れ様です 主人公の強さってどれくらいですか？ (2018年8月5日 20時) (レス) id: 986e690a37 (このIDを非表示/違反報告)
結城心愛(プロフ) - レインさん» たくさんのリクエストありがとうございます！取り合いまでいくかどうかは分からないのですが、一応そんな感じのシチュエーションは元々考えていたので入れようと思います。もう少し甘めも了解しました(￣^￣)ゞ (2018年7月22日 17時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 景持さんとの絡みありがとうございます！次はもうちょっと甘めがいいです！あと政宗さんと謙信様か景持さんの主人公の取り合いみたいなの見たいです！(できればで平気です！) (2018年7月22日 14時) (レス) id: 5763350924 (このIDを非表示/違反報告)
結城心愛(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございます！なんか色々お褒めいただけてすっごく嬉しいです(●´ω｀●)最近更新できてなくてすみません、でもなるべく早く更新できるよう頑張ります！ (2018年7月20日 17時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
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