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××
A「私を、伊達の城に帰さないで」
多少の嗚咽が混じるものの
背中をさすった謙信の手のおかげで大分落ち着きを取り戻してきた。
それでも瞳の中には一欠片の恐怖の色がうかがえるのを謙信は不思議に思っていた。
謙信「何故だ?お前はあれほど伊達政宗を慕っていたではないか。私との戦いの際も、『私は政宗と政宗の守るモノの為に戦う』『政宗の為なら何だってやる』、そう言っていたではないか」
単純に知りたかった。
誰の目から見ても政宗のことが大好きなのだと、そう思わせる彼女の、この変わり様。
不思議でたまらなかった。
だが、予想と反して純粋な謙信の質問にAは口ごもる。
言葉は喉まで出かかっているのに
言っても良いのか言わないべきなのか。
A「そ、その……つまりですね、えっーと……」
景勝「言いたくないなら、言わなければ良い」
助け舟。
左腕の肘あたりを右手で掴んでそっぽを向いている景勝が
思いの外力強い声でぴしゃりと言い切った。
謙信「ああ、景勝の言う通りだ。私こそ、不躾なことを聞いて悪かった。例えどんな理由があろうとも、私は、お前の望まないことは決してしない」
景勝「僕も……ううん、父上や僕だけじゃない。
A「……どうして」
景勝「うん?」
A「どうして……貴方たちはそんなに優しくしてくれるの?敵である私を……殺さずとも、手を差し伸べる義理はないのに……!」
感情がごちゃごちゃになる。
意味がわからない。
怒りなのか、喜びなのか、何者なのか分からないものに突き動かされ語気が強くなる。
謙信「困っている者がいたら助ける。助けを求め手を出してきている者がいたらその手を掴む。当然のことだろう」
A「違う……それは味方のみに通用する考え。少なくとも、
景勝「それはあくまで……
A「……私はっ……」
景勝「……僕たちは殺さない。上杉は……僕たちに害をなそうとしていない限り、敵も味方も関係ない」
謙信「お前の望みは何だ?お前はこれからどうしたい?」
A「私、は……」
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結城心愛 - 紅華さん» そうですね……雑兵より断然強いのは当然として、主要キャラとはそこそこ戦えるものの勝つまでには至らない、といったところでしょうか? (2018年8月11日 19時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - お疲れ様です 主人公の強さってどれくらいですか? (2018年8月5日 20時) (レス) id: 986e690a37 (このIDを非表示/違反報告)
結城心愛(プロフ) - レインさん» たくさんのリクエストありがとうございます!取り合いまでいくかどうかは分からないのですが、一応そんな感じのシチュエーションは元々考えていたので入れようと思います。もう少し甘めも了解しました( ̄^ ̄)ゞ (2018年7月22日 17時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 景持さんとの絡みありがとうございます!次はもうちょっと甘めがいいです!あと政宗さんと謙信様か景持さんの主人公の取り合いみたいなの見たいです!(できればで平気です!) (2018年7月22日 14時) (レス) id: 5763350924 (このIDを非表示/違反報告)
結城心愛(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございます!なんか色々お褒めいただけてすっごく嬉しいです(●´ω`●)最近更新できてなくてすみません、でもなるべく早く更新できるよう頑張ります! (2018年7月20日 17時) (レス) id: 5f6cda4546 (このIDを非表示/違反報告)
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