とある日の昼下がり ページ2
だから、大体の人は校外の人―――例えば、バイト先であった人だとか、習い事の知り合いとか―――と付き合っているらしい。
そういう俺は、習い事はしてない、バイトはしてない、姉にパシられるの三拍子が揃ったせいでいい人がいない。
だからこそ、バイトして、習い事もして、イケメンのコイツが彼女がいないのか不思議でならない。
あ、男とつるむのが好きなタイプ？
ははは一生独身でいつか結婚した俺らを見て悔しがればいいのに。
「お前、好きな奴いねぇの？」
「いるけど」
何食わぬ顔をして応える大友に、がたっ、と音を出しながら俺らは一気に立ち上がる。
そうか、いるのか。
…そっか…ん？
いやいや、何残念がってんだ。
別にいいじゃないか。
は〜ぁ、これで俺らの集まりから大友が抜けるのか。
大友はいつか抜けるだろうと思っていたし、まぁ思ったより遅かったけど当たり前だよなぁ。
あぁ、寂しくなる、ってだけか。
はは、まぁそうだよな、ずっと仲良くしてた奴が一緒に入れる時間が短くなるからな。
寂しくなるのは残念だが、仲良くはしてくれるだろう。
というか、あのイケメンで断る人なんて、そうそういないだろうし直ぐにアタックすればいいのに。
何やってんだ。
「だれ」
「奏汰」
「俺？」
一人が興味津々に訊いてくる。
やめろって、どうせちょー美人の人とかなんだろ。
高嶺の花の人の名前軽々しく出して俺らが諦めるのがオチなんだから。
そう思っていると、いきなりおれの名前が出てビビる。
はぁ？ なんで俺。
あ、なるほどなるほど、好きな人が友人関係の好きだと思ってるタイプね。
あー、そーゆ―ことか。
全く、俺の事が好きすぎるんだから。
今聞いてるのはそーゆー意味じゃないんだよなぁ。
まさか、秀才の大友が天然だったとは思わなかったが、初恋もまだっぽいし、恋愛経験にしてはおれの方が上手ってことだ。
いや、未だに付き合ったことはないけど。
今はそのことじゃないだろ。
恋をしたことがあるのかどうかだろ。
その点、俺は恋をしては告白する前に失恋して終わるけど。
「おまえ、早瀬の事大好き過ぎない？ よく引っ付いてるよな」
「残念ながらそーゆー意味じゃないんだなぁ？」
「さてはお前、初恋まだだな？」
にやにやと大友の事をからかう俺ら。
普段、イケメンすぎて負けてるからな、こういう時くらいしかアイツの事をからかえないからな。
なんでもできるって漫画かなんかの世界かよって話。
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