ごわ ページ7
「ふふ、ありがとう。じゃあ、私に協力してね」
笑顔で告げた後、司書さんは潜書のための機械を、大きな音を立てて倒してしまう。
ああなるほど、機械を倒した。
だから「悪役になれ」ということか。
おそらく、標的はだれでもよかったのだろう。
案内を買って出たのが自分だったから、標的が自分になったのだろうな。
そこまでは簡単に推理できるが、動機まではわからない。
残念ながら、というべきか、自分は察しが悪いもので。
彼女に期待されているようなことは出来ないだろうが、安請け合いといっても自分に任されたことだからやれるだけのことを精一杯やろうじゃないか。
なんて言えば協力できるだろうか。
やはり目の前で彼女を叩くなどのことをしたほうがいいだろうか。
しかしなぁ、彼女を傷つけたくないのもある。
自分を今正に利用しようとしている彼女に情けなどいらないかもしれないが、自分だって一人の人間である。
怒ったりしない限り、手を上げるなんてことは出来ない。
さて、本当にどうしたものか。
「何の音だ！？」
「あぁ、志賀さんじゃないですか」
「あの、助けてください！ あの人が、機械を倒して、それで……」
大きい音に反応して慌ててきたのか、一番に、真っ先に
そんな志賀さんに向けて、わざとらしく演技がかった台詞口調で笑顔を湛えて歓迎する。
せっかくだしね。
そんなことを思っていたら、司書さんが清々しいほどの猫被り、猫撫で声で志賀さんに助けを求める。
倒したのは司書さんだし、その先も何もしようとしてないけど、なんて思ってもおくびには出さずに笑顔でその光景を見る。
せっかくかわいい顔をしているのだから借りてきた猫のように愛想よく受け答えをして仕事をこなしていれば好感度も上がると思うのだけれど。
彼女に言ったところで聞く耳は持たないだろう。
所謂「馬の耳に念仏」というやつだ。
志賀さんにはいまいちだろうけれど。
司書さんに疑うような眼差しを向けているし。
彼の美しい黄緑の瞳には疑心暗鬼の色が色濃く浮かんでいる。隠そうともしていない。
そういう志賀さんも好きではあるけれど。
「志賀てめぇ、はえーんだよ……って、なに、これ」
「俺にもわからん」
「太宰さん、オダサクさんも……。あの、あの人が機械を倒して……」
息切れをさせながら続く無頼派。
(実際他人事だが)他人事のように大変そうだと思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 17人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のんしゅ(プロフ) - しばらく更新停止するつもりです。ほんとすみません。できるだけ早く投稿できるようにしますので、待っていてくださると嬉しいです。 (2022年2月11日 17時) (
レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
文ストファン - いつ見ても面白い！！！！！！ (2022年2月11日 14時) (レス) @page27 id: 643207991d (このIDを非表示/違反報告)
のんしゅ(プロフ) - わぁぁぁ！ ありがとうございます！ すごく励みになります！ 若輩者ですが、頑張って投稿始めようと思います (2022年1月30日 22時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
文ストファン - ヱァァァァァァァァァァァァァァァァ素晴らしい作品ありがとうございます！ (2022年1月30日 21時) (レス) @page27 id: 9e1177ce22 (このIDを非表示/違反報告)
のんしゅ(プロフ) - 十話ごとに閑話休題を入れるつもりです。もし短編リクがあればコメント欄かボードにお願いします。 (2021年6月6日 13時) (レス) id: b8f455d9e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
