浮かれて怯え ページ7
総統がゾムに仕事を渡すよう頼まれ、相手の情報が書かれた書類の入っている茶封筒を持って廊下を歩く。
ゾムはといえば、暗殺部隊に所属しているかなり腕の良い暗殺者。
総統からも信頼を置かれている……が、最近仕事以外は緩みきった姿しか見れていない。
「ゾム〜？」
扉をノックして、開けてもらうようゾムに呼びかける。
普段よりも少し遅く扉が開き始める。
初動も遅いが、もとのスピードも遅い。
「どしたん、大佐、元気やな」
「そういうゾム殿こそなにかいいことがお有りで？ 仕事を持ってきたんだけど」
いつものフードはかぶらず、何を見ていたのか緩みきった顔のまま中に通す。
ゾムにしては珍しく部屋の片付けもしてあれば書類が散乱してる───なんてこともなく。
人を部屋に通すこともそんなしないのだが、風邪でも引いたか？
ゾムなんて、仲の良い人と会うとき以外は誰と会うにしてもピリピリしているものだが。
「そんなことあらへんけど？」
「そんなことないだろうが」
いやいや、何もいいことあらへん、などと必死に否定する。
そんなに言われたらむしろ疑いたくなるのだが。
疑り深い視線を投げかけたあとにゾムの部屋を見渡すと、机の上には多くの手紙が積まれている。
「なんだコレ」
「っはぁ〜。バレたらしゃあない。ふっふっふ、今度デートするんよ。そこで告白しようかなって。でも振られたら嫌やなぁっていつもできないんよ」
それに、暗殺者だし、いつ死んでまうかわからんし、なんてこぼす。
くだらないなぁ、なんて思って杏の花でも贈っとけば？
なんて言ってゾムの部屋を出た。
──────
杏【臆病な愛】
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兆(プロフ) - 月夜さん» コメントありがとうございます！何度も書いては消してを繰り返してなんとか出来上がった作品なのでとても嬉しいです。のんしゅさんの作品もとても素晴らしいですよね！また今週上がるので是非☺️ (2022年7月9日 12時) (
レス) id: 9b683a0bf2 (このIDを非表示/違反報告)
のんしゅ(プロフ) - 月夜さん» ときさんの作品いいですよね分かります (2022年7月5日 20時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 一話完結なのに伝えたいことがすべて伝わる文才羨ましい (2022年7月5日 0時) (レス) id: 257462e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
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