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「なんや考え事しとるん?」
「あぁ、どんなことやろうかなぁと。それと、ベルフェゴール様にもいらっしゃるのか聞いていこうと思うので、お先に行っていてください」
「あ、俺も行くわ」
サカタ様に腕を引かれているおれに、のしっ、と腕を肩に回しつつ体重をかけるシマ様に応える。
そのまま他のことも、伝えて離してもらおうと思って言葉を続ける。
今度はシマ様に、量の方へ引っ張られていった。
◇
「ベルフェゴール様いらっしゃいますか」
「いないよ」
ドアを三回ノックし、ドア越しにベルフェゴールがいるか確認すれば、どうでもいい返事が返ってきた。
ガチャリとドアを開けてそのまま部屋にズカズカと入る。
「いらっしゃいますね。今度の花休みにワーウ州で感謝祭をするのですが、いらっしゃいませんかいらっしゃいますよね」
「楽しそうやし、ベルちゃんも来ぉへん?」
無理矢理にでも連れて行かんとするおれの言葉にシマ様が付け足して柔らかくしてくれる。
ちなみにベルちゃんというのはベルフェゴールの愛称である。
シマ様とサカタ様でつけたもので、すごくファンシーになった。
本人はいいらしい。
「なんだい、お祭りなんて楽しそうだね」
「お忍びやから目立たんように行かんとやねん。行きはつまらんかもやけど」
「目立たないように? きみたち、認識阻害系の魔法を使えばいいだろう」
静かにしていなければならない道中、つまらなくなるなることを付け足したシマ様に対して、何を言っているのだとバカにしたように言う。
そもそも普通の人間に認識阻害系の魔法は使えないのだが。
「ベルちゃんやってくれん?」
「使えないのかい? 仕方ないね、ちょっとくらいは働いてやってもいいよ」
おねが〜い、と頼むシマ様に、偉そうにベルフェゴールが返す。
でも、なんというか、頼られて嬉しいけど素直に良いと言えないおじいちゃん感が拭えないような……。
まぁ、ベルフェゴールがいればいろいろ便利ではある。
「助かる〜! じゃ、俺らこの後授業やからまた来るわ!」
「失礼しました」
「きみたちの授業、僕も見に行こうかな。ついでにきみたちに認識阻害の魔法を見せてあげよう」
じゃあ、とベルフェゴールをおいて部屋を出ようとする俺たちに、彼は重たい腰を上げて一緒に教室へ向かう。
正直、心配しかないのだが。
とは言え、認識阻害魔法を見せてもらえるのはありがたい。
先生方も納得してもらえるだろう。
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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