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志麻side
魔族が襲ってきたとき、ルシフばっか前に出て、将来は騎士団に入ることが約束されているはずなのに、何もできんかった。
せやから、ルシフとうらたさんが帰ってきたとき、笑って迎えて、その後に、模擬戦をしてほしいと、そう頼むはずやった。
「ルシフはトラブルメーカーかなんかなん?」
「そんなことないですよ。というか、センラ様は大丈夫ですか?」
「センラのことは気にせんでええよ……」
戦闘を走るルシフに、どんだけ体力があるんやと思いながら着いていく。
余裕そうに一番体力のないセンラくんのことまで声掛けをしている。
「ッ、原初が来る」
「え、早ない!?」
ルシフの掛け声に合わせて臨戦態勢を取る。
と言っても、ルシフは先に対話を試みるらしいけど。
俺と坂田は剣に手をかけていつでも引き抜けるようにする。
戦闘狂の悪魔やったら、話す前に殺されとるやもしれんけど。
「きみが依頼人のターゲットだね?……もしかしてきみ、魔族まじり?」
「おれはどうでもいいだろ。名前は? なんでここに来た。答えによっては……わかるよな」
原初の悪魔は興味深そうにルシフを眺める。
俺らはそれこそ、黒髪に赤い目は魔族のワーウやからってわかったけど、悪魔はそんなことわからないやろ。
ちゅーことはや。
見ただけで混じってるのが分かったってことやろ。
エグ。
原初と対峙したルシフの周りの空気はピリつく。
珍しく敬語じゃないルシフにこちらまで圧倒される。
こわ。
「ああきみたち、もしかして、原初の悪魔のこと知らないの? 前こっちに来たときは有名人だったんだけどな」
「違う。原初のどれだって聞いてるんだ。文献がほぼないから見分けがつかないんだよ。それで、おれがターゲットってこと? 内容は聞かないでおくけど」
煽るような悪魔に一歩も引かずに応酬する。
本当に知らないだけかもしれないけれど。
それはそれで苛つく。
隠居してんのに出て来んでほしいんやけど。
「おれは怠惰、ベルフェゴール。きみのお父さんに、きみを殺すよう依頼されたのさ。きみ、お父さんより濃く混じってるんだね」
「それで、殺すのか? 正直、おれが死ぬことに関してはいいが、親父が死んだ今、当主はおれだ。ワーウ家の次期当主を立てて、引き継いでからにしてくれないか? ワーウ家のために。
まぁ、できるなら、殺さないでおいてほしいが。案外この生活を気に入っているようだし」
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のんしゅ(プロフ) - ほんとですか!? 教えてくださりありがとうございます (2022年6月30日 19時) (レス) id: e89ed18301 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - オリジ/ナルフラグが立っているようですので、外していただくようお願いします。 (2022年6月30日 8時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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