八話目 ページ10
居無い、と言えばおれを
おれ自身、自分の好みは判ら無いが、好みの人であれば男でも女でも善い。
可哀想だから取り敢えず推しの話でもしよう。
巫山戯て話せば、お、おう……。と怖気づいたような反応をする。
嗚呼面白い、何て思っていると、不意に袖が引かれた。
「なぁ志木、今この森すっぱーんって割れたよな?」
「そうですね」
「二級かな?」
「二級と云うのが何か解らないですが、恐らく違うかと」
此前云っていた宿儺の指とか云う奴と関係しているのだろうか?
まぁ森を割ったのは其の二級とやらでは無くおれなのだけれど。
「二級じゃなくて、特級かな?それなら出来そう」
「う……其れは、特級とやらでも無く、おれなんですよ」
真面目に考察する彼に対し、罪悪感が湧いて来る。
申し訳無く思い、正直に言うと、すっげー!と瞳を輝かせて此方を見て来る。
「どうやったの!?」
「多分言っても解ら無いですよぉ……?おれ、異能力って物を持って居るのですけれど、其れを使って喰いました」
興奮した様子で聞いてくる彼に困惑しながら簡単に説明をすると腕を組み、頭を捻る。
だから解ら無いと言ったのに。
そもそもあれはおれだって理解ら無い。
どういう原理で異能力が手に入るのか、そもそも後天的に手に入るのだろうか。
其れ以前に、異能力の定義は?発動の仕方は?
異能力に関しては理解ら無いことばかりだ。
「……喰った!?」
一通り考え切ったのか、考える事を辞めたのか、摩訶不思議な物を見るような目で此方を見て来る。
「間の空間を喰った、ですかね。
おれの異能力の名前は『時空喰らいと時渡。』って名前なのですけれど……嗚呼やめやめ。どうせ解りませんし、話した所で価値もないですし」
「何で決めつけんだよ!」
「言い方が悪かったですかね……?
おれも此の力については佳く理解ってないですし、貴方には使えないので。そもそも、敵対した時におれの能力が相手に知られて居る時点で詰みなんです」
「そっかぁ……」
おれの能力は簡単に言えば空間断絶なので、知られた所で……と云う感じなのだけれど。
「あら、見に来たら……誰かしら?」
茂みから音がしたと思ったら、美人な女の人が出てきた。
何方かの味方か、傍観の為に来たなんて何故そんな無意味なことをしに?
言ったらおれもそうか。
何で意味なく虎杖さんに会いに行ったんやろ?
人間性が芽生えてきた?
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