五話目 ページ7
「そうでしょうね。然し、リーダーは知っている筈です。
……まぁおれの事を覚えていなければ気付かないでしょうが。ねぇ?」
「君が云うリーダーも分かってないが……まぁ善いか」
「知っているなら七不思議じゃないじゃないですか!其れに、何で懸賞金を貰おうとしないんですか!」
まぁリーダーもリーダーという立場上、その他大勢の中におれが入っているかも知れないけれど。と追加で言う。
何でも知っていそうな太宰さんでも知ら無い事が有るのかと云う新しい発見と、意味が理解らないと顔を近付けて来る中島さんが可笑しく、おれは珍しく、くつくつと笑ってしまう。
「何が可笑しいんですか!」
「くっ、くつくつくつ。可笑しく無かったら笑わないですしね。太宰さんでも知らない事が有るなんて。其れから、知っていた、では無く、今気付いた、と云うのが正しいですね。まぁ俺の前職当ては難しいですね、ヒントをあげます」
詰め寄った侭訊いて来る。
其れがまた可笑しくて笑う。
そして、思った事を口に出す。
まぁ此れ程度では流石にヒントに成らないか、と思い、ヒントとして青いミサンガと呼ばれる物を見せる。
齧った跡が有り、普通は到底見せられる物では無いが。
少しばかり心許ないが其れでも無いよりはマシだろう。
「噛まれた、ミサンガ?」
「そうですね。此れが意味する物、知っている人は知っているでしょうね。まぁ、おれの副業を当てる方が簡単ですかね。嗚呼、そうそう。おれ、今の年齢は15歳ですよ」
せめてものヒントになれば、と更に追加情報を渡す。
其れでもやはり答えられないらしい。
「年下じゃないですか!年上だと思ってた……。15歳なら学生ですか?」
「違います」
俺の年齢を聴き、驚く中島さん。
そんなにおれは老けて見えるのだろうか。
確かにスキンケア等は余りして居無いが、だからと云って年相応の顔だと思うけれど。
的外れな答えを出す中島さんに対し、即答する。
「敦くん、降参かい?ならここの払いは宜しくね」
伝票を中島さんに見せ、
不意に【ピリリリリ】と谷崎潤一郎さんの携帯が鳴る。
依頼が来た様だ。
まぁ恐らく、向かうのは電話の掛かって来た谷崎潤一郎さんと中島さんだろうが。
下らない、と心の中で自分の予想を嗤うと、おれのスマホも鳴る。
と言っても、バイブだけれど。
ワンコールで鳴り止み、嗚呼、LINEか。何て思い、電源を付ける。
真ん中には溜まった幾つかの通知が見える。
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