俺を俺だと認めてくれたキミ (ページ5)

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教室を出た俺は入部届をもって自転車部の部室へ向かった。

今日は入ったら帰ろ。

そう思い、自転車部の扉を開ける。

悠人「ちわーす。入学希望者でーす」

「マジで⁉︎」

「ほんとかよ！」

「1年に⁉︎」

何か盛り上がってるなー

「いやいやヤバいでしょ！本当それ⁉︎」

悠人「ちわーす。あの」

「このハコガクにか！」

「マジかーどんな？似てんの？」

「来てるんだよ！来てるってよ！」

「あの新開さんの弟が！！」

っ…！

今日はやめよう…。

そう思い、部室のドアを閉めた時だった。

「あ、キミ！」

悠人「！」

「自転車部？希望者？一年生？」

チッ…。

「いやー、ごめんごめん、気づかなかって。自転車
　あるってことは、経験者かな？今、ちょっとビッグ
　ニュースが飛び込んできてさ。こっちの話なんだけ
　どさ」

はぁ…。

どっちの話だよ。

「キミと同じ1年に、いや、去年卒業した伝説の三年
　生、最速スプリンターの新開さんて“神”がいてその
　人の弟がさ_____」

俺はその先輩をじろっと見る。

すると

「い、いたー！！」

「何々⁉︎」

「いたってその弟⁉︎」

「ほんとだうわっ」

次々に部室から部員が出てくる。

悠人「いや…ちょっ、指差しは…ないでしょ？」

「似てる！！顔！」

「新開さんだー！若っ！！」

「小さい新開さん」

「すげー！！マジだった！」

悠人「だから、指さすの、やめてもらえます？俺、
　隼人くんじゃなくて、悠人なんで」

「お前もバキュンやる？」

「脚、見せてくれよ！」

悠人「ハハハ…」

「後輩に新開さんってフシギなかんじだなー」

悠人「いいでしょ？もう、兄貴関係ないでしょ？
　俺は俺なんで」

その時だった。

カシャっ

は⁇

カメラを切る音がして、その瞬間、俺は愛想がつき、先輩の…いや、男が持っているスマホを飛ばす。

悠人「何で写真まで撮ってんだよ！！」

「あっ」

悠人「ちっ」

スマホはその場に落ちて、画面がバキッと割れる。

俺はそのまま駆け出し、自転車に飛び乗って家に帰った。

もういい、俺を隼人くんの弟扱いするやつに敬意を払う必要は無い。

グシャグシャとする気持ちをかき消すように俺は

必死にペダルを回した。