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｢何で…ッ！｣
腹いせに机を殴る。
痛みは神経を通じて脳に達し、
腹いせどころか殴ったことを後悔する。
自分のアカウントからキックされ、
パスワードを入力しても入れない。
間違ってるわけない。
パスワードは必ず決めた瞬間にメモする習慣がある。
現状を一言で表すなら、
『アカウントを奪われた』
ということだ。
画面の向こうには、
僕からのメールを待っている彼女がいる。
ここから離れた場所に住む、
僕が唯一焦がれた人が。
声は聞いたことはあるが、
顔は見たことはない。
知らないどこかの誰か。
画面越しとはいえ、
この気持ちはホンモノだ。
画面越しとはいえ、
じゃれ合うだけで心が踊る。
笑い合うだけで胸が奮う。
ひとつの機種に複数のアカウントを作ることはできない。
運営には問い合わせのメールを送ったが、
どうせ対処は数ヶ月とか、
そんなもんだ。
僕のアカウントを奪って、
何をしてるんだろう。
金を吸い取ってるのか、
スパムメールを送りまくっているのか、
まさか彼女に…
Aに触れてないだろうな？
ゾッと寒気がした。
そして考えることをやめた。
いくらパスワードを考えたって、
答えは出ない。
待つしかないんだ。
無力さに溺れ、
毛布を被る。
遠くに置いてあるギターに目をやる。
通話を繋いでAに僕の歌声とギターを共有した思い出も、
はるか遠く昔のことのようだ。
体を温かくしても尚、
この震えは止まらない。
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鹿野ユズナ(プロフ) - 前回の合作が……読めない………こんなに素晴らしいのに……！気になるのに………！！心を奪われてぼんやりしてしまいます。気になる。魅惑的な作品でした。ありがとうございます。 (2020年10月9日 16時) (
レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らふぁえるsk＆雪兎-ﾕｷﾄ- | 作成日時：2019年5月25日 18時
