ゆるくて甘い、藤井先輩。 (ページ12)

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流星「A」

「はい」

流星「なぁなぁ、A」

「何ですか？」

流星「こっち向いてや」

「無理です」

流星「俺よりそっちの方がええの？」

「いや、いいも何も。これやらないと
ヤバイんですよ」

流星「一瞬ぐらいええやん」

「え？ちょ、藤井先輩！」

先輩に取り上げられたのは単語帳。

今日は昼休みに屋上にきてる。
5限目は英語の単語テスト。

「藤井先輩、返してください」

流星「嫌」

この間の事件があってから、藤井先輩は
甘くなった。

基本的にゆるいけど、こんな感じで
とにかく甘い。

「ふじ「流星」

「え？」

流星「さんはい」

「え、あ、いや、あの…」

流星って、呼べってことなのか
何なのか、あたふたしてると、

どもりすぎやろ。

って、笑う藤井先輩。

流星「望は、望先輩やん。

やから、俺も流星って呼んで」

ちょっと可愛すぎやしませんか？

「流星、先輩？」

流星「先輩いらん。あと敬語もいらん」

「え、ええ…」

藤井先輩は先輩やし、ずっと敬語で
喋ってたから上手く言えへん。

「流星、くん」

流星「んー、まぁ今はそれでええや」

はい。って単語帳が目の前に差し出される。

それを受け取ろうとしたら、

ひょいっと交わされた。

「流星くん！返してください～」

流星「じゃあ、ん」

目を閉じる流星くん。

え、こ、これは…。

流星「早よせんと、単語帳の命は無いで」

ええ、それは大変や。

私はそっと流星くんのほっぺにキスを落とした。

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