閑話特別編:妖恋慕への前日譚 ページ41
ヒ「……寝ちまったな」
ア「にゃー、可愛い……!」
メ「はい。とても可愛らしいですね……!」
ト「てか、やっぱり寝る時はチビの姿なんだな」
ア「妖力が安定してない、訳じゃないよね……?」
メ「昼は元気そうでしたけど……。無理をされていたんでしょうか……?」
ト「この姿の方が楽なんじゃね? 木霊ってチビの姿のやつが多いし」
ヒ「元々の妖力が少ないって言ってたな」
ザ「おい、そろそろ始めんぞ」
ハ「皆集まってるね」
ヒ「急に話があるってどうしたんだよ?」
ア「しかも、フジヒメには聞かせられないって……」
ト「また噂が消えかけてんのか?」
イ「それは大丈夫じゃないかなぁ。怪談もよく聞くし、妖力も問題ないと思うよ」
ウ「おまけに中庭の藤棚の方も何かと有名になってるからね。外もある程度なら出られるんじゃないか?」
ザ「一夜にして満開になったってな。あん時は学園以外のヤツも来てたはずだ」
メ「綺麗でしたね……」
ハ「今日、話したいのは別なんだ」
ザ「何かの厄介事じゃねぇだろうな……」
ハ「それはどうだろう。厄介かもしれないし、そうじゃないかもしれない……」
ウ「また随分と曖昧だね」
ハ「曖昧だからこそ、彼女には聞かせたくないんだ」
イ「まずはオレたちで、ってことだね」
ハ「そういうこと。皆は今、また新しい怪談が語られてだしているのを知っているかい?」
ア「生徒を拐う怪談……」
ヒ「実際に消えたヤツはいるのか?」
ハ「行方不明になった生徒は今のところ出てないよ」
メ「ということは、これから出るかもしれないってことですか……?」
ト「それって、まずくね?」
ザ「だからアイツに聞かせられねぇんだな」
ウ「あぁ。こんな話、彼女には聞かせられないさ。僕たちなら、彼女が傷つくような事はしないと断言できるけど、新しい怪談となると別だ」
イ「力を得たいだけの妖怪なら、尚更だね……」
ハ「そう。力を得たいだけならすぐにでも人間たちを襲うはずなんだけど――」
ヒ「消えた生徒がいねぇってことは、まだ襲ってないってことだよな?」
ウ「目的がわからないな……」
ハ「この怪談をこのまま放って置くことはないできない。でも、目的がわからない以上、彼女にもまだ言えない」
ヒ「ってことは、オレたちだけで調査するんだな」
ア「任せてよ!」
ト「おう!」
メ「フジヒメさんのため、頑張ります……!」
イ「お狐さまも頑張ってね」
ザ「わーってるよ!」
ウ「頑張るのは君もだよ、イリヤ」
ハ「皆、ありがとう!」
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作者名:桜日和 | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/sakura_biyori
作成日時:2021年5月22日 16時