検索窓
今日:16 hit、昨日:1 hit、合計:8,069 hit

昇降口に響く声・その後 ページ31

ねぇねぇ、知っていますか?
最近、怪談になった噂『昇降口に響く声』の続きを――


「今日もキレイに咲いてんな」
「ゴミのポイ捨てもすっかりなくなったね」
「自主的に清掃活動をしている生徒をよく見かけるねぇ」
「おかげであの面倒なゴミ拾いや掃除をしなくてすむな」
「それに今じゃ、七霧学園の人気スポットだし!」
「男子も女子も恋人たちも……いつ見ても人が居るよなー!」


中庭の藤棚。

そこには、人間のことが好きな妖怪が住んでいて、いつも見守っているそうです。

最初は人間を恨んでいると怖れられていた場所でしたが、その噂が流れて、生徒さんたちが来るようになりました。

最近また違う噂が広がって、今ではちょっとした七霧学園の人気スポットになっています。


「片想い中の方々からの人気が上がっているみたいですよ」
「噂になっているよね。片想いの相手が良い人かどうかってやつ」
「はい……。何でも藤棚の下で片想いの人と来た時、良いことがあったらその方は優しい人。もし悪いことが起こったら何か好くないことをしている人。と言われているそうです」
「まあ……悪いことが起こっても、そいつがほんとうに悪いやつかはわかんねぇよな」
「でも確実に、フジヒメにとって嫌なやつってことはわかる」


片想いじゃなくてもいいです。

もし気になる人ができたなら、その人と一緒に藤棚の下に来てください。

その人がステキな方なら喜びを、イヤな方ならちょっとした悪戯を添えてお答えします。

……私基準ですけど、結構当たると評判なんですからね。


「そんで、あいつは何処に居るんだよ?」
「彼女なら今日も藤棚に居るよ。何でも告白をするって子が居るらしくて。メリィくんのクラスの子だって言ってたかな?」
「はい。わたしとフジヒメさんとでオススメですよってお教えしたんです」
「もう自分から売りこんでじゃねーか……」
「しっかりしてるねぇ」
「で、相手のやつは?」
「そうですね……きっと合格だと思います」


今日も藤棚には多くの生徒さんたちが来ます。

休憩に、語らいに、逢瀬に、告白に。


「……ほんとうにあの子は、人間が好きだね」


あなたが優しくてステキな人ならば、私も藤の木もあなたを歓迎致します。

……悪い人なら気を付けてくださいね。

いくら人間が好きだと言っても妖怪なので、悪戯しちゃいますよ。


「ふふ、今日も賑やかですね」


今夜も昇降口に声が響きます。
中庭の藤は楽しげに揺れました。


〜Fin.〜

あとがき→←奔走する後輩



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桜日和 | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/sakura_biyori  
作成日時:2021年5月22日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。