検索窓
今日:12 hit、昨日:22 hit、合計:8,087 hit

昇降口に響く声・改変 ページ29

翌日、学園に一つの怪談が生まれました。
その名は『昇降口に響く声』――


「だいぶ噂になってんなぁ」


それはある女子生徒から始まった噂でした。

誰もいない昇降口に楽しげな歌声が響き渡り、帰る女子生徒に声をかけます。

けれど、ある日。

楽しげな歌声は人間たちを恨む声に姿を変えました。

真夜中の学園、真っ暗な闇に包まれた昇降口に誰かの啜り泣く声がして、誰かを探している。


「この感じだと、しばらくは大丈夫そうかい?」
「はい! 妖力が安定していますから人間の姿でも大丈夫そうです!」


昇降口に響く声は中庭にある藤の木のお化けだそうで、夜な夜な学園に来た生徒たちを昇降口で驚かせては藤の木に閉じ込めてしまうとか。


「あ、でも……」
「ん? どうしたんだ?」
「一つ疑問……いや不満? があるんです。何で私はお化けになったんですか?」


けれど、怖いだけの怪談じゃないんですよ。


「あー……はは、何でだろうな……? ウタシロ」
「ここで僕に振るのか!?」
「……私、お化けじゃなくて妖怪ですよ?」
「いや、妖怪も広くてお化けと言われることがあって……ザクロ!」
「!? 俺に投げるな! イリヤ――は、ダメだ。便所幽霊!」
「えー、ひどいなぁ」
「んー……ここは俺もパスで。メリィくん」
「はいっ!? わ、わたしですか? そうですね……えーっと、アラハギさん?」
「バカ犬!」
「へ? おれか!? んーと、あ。木霊を知らねーからじゃね?」
「木霊を……知らないんですか?」


皆さん、知っておいてください。

この声の主は木霊。
木に宿る精霊ともいわれてるんです。
依り代にしている木を大切にしてくれれば人畜無害なんですよ。


「確かに、ヒフミさんたちも知らなかったようですけど……そうですか……」
「あ、あまり深く考えんなって! なぁ?」
「あぁ、君は君のままで良いんだからね!」


けれど傷つける人には容赦しないので気をつけてくださいね。

一応、妖怪なので。


「イヤな予感がするのは俺だけか……?」
「狐くんだけじゃないよ」
「あのー、フジヒメさん?」
「分かりましたっ! 私、木霊ですよって皆さんに知ってもらえるようにしてきます!」
「ちょっと待ちなよ、フジヒメ!?」
「あーあ、行っちまったなー」
「変なことしねぇよな、アイツ……」
「それはないと信じたいね」
「ふふ、愛らしいよねぇ」


でも、この妖怪は人間が好きなので、自分で怪談も変えてしまうんです。

人間たちに好きになってもらうために。

奔走する後輩→←あの子のために



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桜日和 | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/sakura_biyori  
作成日時:2021年5月22日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。