日常26 ページ26
現在地、アル喫茶店ニテ______。
カウンターノ席ニ座ル二人。
『あ、お姉さん。
私は紅茶でお願いします』
「僕は焙じ茶を頼む」
和風メイド服の女給さんは「はい!」と笑顔で店の奥に入って行く。
『それで…芥川君、今所持金幾らぐらい?』
「僕は…ザッと六千円程だ」
『同じく、私も六千円』
『「………」』
私達は静かに顔を見合わせる。
『私達の所持金では宿泊は無理ときた』
「今日中に行方をくらました者を探し出さねば、僕らは野宿をする羽目になる」
『当の私達も帰る方法を知らないのだけどね…』
「連絡は付かぬのか?」
『そんなのは来た時にとっくに試してるよ。
結果はノー。誰に連絡しても音信不通』
「そうか……」
芥川君は気難しい顔をしたと共に少し考え出した。
『取り敢えず、この街の人達に私達の学校の制服を着た人を見なかったか聞き取り調査…だね。
はぁ…、何でこんな探偵染みたことを私達が…』
私はため息を吐くと女給さんが持ってきてくれた紅茶を飲む。
「おや、もしかしてお二人共上の探偵社の方ですか?」
女給さんは突然そんな事を聞いてきた。
『……?探偵社、ですか?』
「否、僕達はその様な者では無い」
「そ、それは失礼致しました…」
『え、いや、別に気にしなくていいですよ』
ぺこりと謝る女給さんを宥めていると、チリンと店のドアベルが鳴る。
「あ、いらっしゃいませ!」
女給さんはいそいそと今来たお客さんの元へ行く。
「では、これからの行動を如何する?」
『まずは芥川君の思い当たる場所を捜索。
次に街の人に聞き込み、そして同時進行で私達が元の横浜に帰る方法を探す』
私は指を折ってそのタイムスケジュールを発表した。
『これで如何かな?』
「うむ、決まりだな」
『はぁい。
じゃあ私ちょっと小腹が空いたから何か頼むね……って、さっきから上の階が何か騒がしいなぁ』
私達が話している途中から「ドドドドッ」って銃声みたいな音が聞こえてきていた。
『店長さん、アレ苦情入れに行かなくて良いんですか?』
「大丈夫ですよ。
上の探偵社ではよくある事ですから」
『そ、そうですか』
探偵社って…物騒。
「其処に居る男性も探偵社の方ですよ」
クールな店長さんの言葉に私と芥川君が後ろへ振り向くと、
「遂に、生きる意味を見つけたのです。
いや、生きてきた理由と言うべきか…!」
見覚えのある包帯無駄遣い人間が女給さんを口説いた。
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ユーリ(プロフ) - 雑草で悪かったな!さん» 初コメ有難うございます!ええ、裏話をしてしまいますと芥川君はよく依頼として梶井先生の実験(爆発)の後片付けをしています笑。更新頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 8時) (レス) id: 3df6ae9d19 (このIDを非表示/違反報告)
雑草で悪かったな! - 一言で表すなら「しゅき」面白いです!梶井先生の所為?お陰?で爆発ならしていらっしゃる...。あれ?口説いてるのって..まさか、さて。面白いです!最新頑張ってください! (2019年5月2日 0時) (レス) id: 12fda47f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーリ | 作者ホームページ:設定しないでください
作成日時:2018年9月17日 15時