【ヒプマイ】山田四兄弟【男主】

運命 ページ9

「なあ頼む！そうだ、今度勝ったら俺が奢ってやるからさ。」
手を合わせ頭を下げられる。いや、関わるのが嫌なのに会う機会増やされても。

「いやです。もうついてこないでください！」
早く買い物を終わらせて早く家に帰るために強行突破を試みる。

「おい、待ってくれよ。だって二日連続で会ったんだぜ！もう運命じゃん！」
いや運命ってなんの運命だよ。奢る運命とかいうつもりかよ。

振り返ると目の前に伸びた手。


「さ…触るな！」
手をぎゅっと握りしめ大きな声で叫ぶ。

「え…あ、悪い。」
驚いて止まった手を下ろす彼。心臓のバクバクを抑えるためゆっくり息をする。


「なあ、昨日も思ったんだけどさ、もしかして触られるの怖い？」

「は？そんなわけないでしょう？」

「嘘つくなよ。じゃあなんでそんな慌ててるんだよ。」

「だから違うって！」

「本当か？なら触っても問題ないよな。」

そう言って手を伸ばしてくる彼。
ゆっくり、ゆっくり伸びてくる彼の手から目を離せなくなる。

大丈夫だ。怖くない、手の先がちょっと触れるくらいなら大丈夫、大丈夫、そう何度も言い聞かせる。息が少し乱れてきて、余計に焦ってしまう。

あと少しで彼の手が俺に触れる。

「こ、怖いんだ！」
上ずった震えた声でそう叫ぶ。
するとピタっと止まった彼の手。

「怖い怖いんだよ。あんたが言った通り！でもそれの何が悪いんだよ！お前らのせいだろ！俺だって好きでこんなになったんじゃない！」
泣きながら逆上して捲し立てた。

「悪かったって。泣くなよ…って触っちゃダメなんだよな。悪い。」
俺の涙を拭おうと伸ばしかけた腕を下ろす。

「…とりあえず座れるとこ行こうぜ。」

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