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「熱は……ん、ないね。痛いとか苦しいとかない?」
「ない〜」
「はい、じゃあ血圧も測るよ」
「えぇ〜?」
「えぇじゃないの(笑)」
朝起きて和室に下ると、早速兄貴と康二がいちゃついていた(笑)
難しいことはあんまわかんないけど、基本的に病院で家族の治療はできないんだって。
康二の主治医の先生は赤ちゃんの頃からずっと同じ人だけど、家でのチェックや簡単な診療は兄貴がやってくれている。
熱と酸素量は毎日測っているけど聴診と血圧、触診なんかは必要なときだけ。
真面目に聴診器を当ててる兄貴は真剣なお医者さんの顔だけど、康二にじゃれつかれてニタニタしてるのは気持ち悪い兄の顔だ(笑)
「おはよ〜」
「お、おはよ」
「おはよぉ大にぃ」
「涼太が朝ごはん食べられそうなら出ておいで〜って」
「お薬あるから一緒に向こうで食べちゃおっか」
「うん」
元気そうに笑ってるから大丈夫かな、って。
ほんの少しの油断が、まさしく命取りになる。
優しく手を引いたと同時に、康二が眉間に皺を寄せて小さく唸った。
「あっと…ごめんね?痛かった?」
「ん……なんか、」
「痛い?ザワザワする?一旦座ろう」
「もやもやする……ごめん…」
「なーんでお前が謝るんだよ、ちょっと確認させてな?」
俺たちもそうだけど、康二もみんなと朝ごはんを食べるつもりだったみたいだから。
眉を下げてしゅんと落ち込む顔が可哀想でくしゃくしゃと髪を撫でてやる。
兄貴に脈を取られたり顔を触られたりしながら、俺を見て小さく笑ってくれた。
そうそう、康二は笑った顔が一番かわいいよ。
「ちょっと雑音聞こえるね、お薬飲んだら落ち着くと思うからこっちで食べよう」
「おっけー!持ってきます!」
そんな気はしてました!(笑)
急いでリビングに戻り、器とれんげをもらって和室に舞い戻る。
常温のお水は和室に完備。これで完璧!
視線を感じて、ふぅふぅ冷ました雑炊を口に運ぶ康二から一瞬顔を上げると、俺を見ていたらしい兄貴と目が合った。
任せといて、と伝えるようにしっかりと頷く。
かわいいかわいい弟の笑顔は、俺たちが守っていかないとね。
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s - このお話が大好きなのですがまたこのお話を再開する予定はありますでしょうか?先ほども言ったようにこのお話が大好きなのでまた書いてくださったらいいなと思いコメントをさせていただきました。ご検討のほどよろしくお願いします (9月13日 22時) (レス) @page29 id: 3bb6fa2af0 (このIDを非表示/違反報告)
森乃(プロフ) - Cyamuさん» (続) 読み手の皆様に想像しながら楽しんでいただけたらいいな、と想っております。わかりにくさはこちらの力不足ですね…💦検討してみます! (2022年1月8日 13時) (レス) id: 1f323a239b (このIDを非表示/違反報告)
森乃(プロフ) - Cyamuさん» お読みいただきありがとうございます🙇♀️本作ではお話の途中で誰視点かは確実にわかるような構成を心がけており(名乗らせる、兄弟の名前を呼ばせるなど)あえて視点先を書かないことで、 (2022年1月8日 13時) (レス) id: 1f323a239b (このIDを非表示/違反報告)
Cyamu(プロフ) - 作品に口を挟む形になって申し訳ないのですが、誰seedか付けていただけると誰目線なのか分かりやすくなると思います💦凄いいい作品で表現が素敵なだけに誰目線か分かるとより感情を寄せる事ができるかなとちょっともったいなく思ってしまいました。 (2022年1月8日 13時) (レス) @page38 id: 6e8ef04be9 (このIDを非表示/違反報告)
森乃(プロフ) - あさかさん» あさか様、以前にもコメントをくださったんですね…!いつもお付き合い頂き本当にありがとうございます🙇♀️ (2021年12月19日 21時) (レス) id: 1f323a239b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:森乃 | 作成日時:2021年12月2日 22時