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ドキっと胸のあたりが跳ねた気がした。
ほぼ同じペースで走る相棒の方を見ると一瞬で目が合ったのは。
……きっと、そういうことだよね？
「康二は？」
「っは…わかんない、あっちにいなくない？」
「え…？あ、ほんとだっ…」
いつも康二くんが僕たちを見てる体育倉庫前。
そこに人影はなくて、キョロキョロあたりを見渡しながら蓮くんと話を続けていたら、先生から名前を呼んで怒られた。
怯む僕をよそに立ち止まった蓮くんは、「康二がいないです」って先生を見つめる。
不思議そうな顔で体育倉庫の方を見た先生に……すごく嫌な予感がしたんだ。
「っちょっと行ってきます！」
「あ、おい！」
「すみません、僕も行ってきます！」
先生は焦ったように僕たちを呼んでるけど、胸をざわつかせるこの感覚は絶対本物。
根拠なんてないけど、わかっちゃうんだよ。
だって僕ら、三つ子なんだもん。
「康二、おい！」
「康二くん！」
「聞こえたら返事しろ！」
サッカー部エースの俊足に置いてかれないように、さっきの持久走よりも早く足が回ってる。
普通に保健室に行くよりも近道そうな裏道に勝手に足が向いたのは、きっと康二くんが僕たちを呼んでるせい。
「康二、康二！？」
「康二くん！わかる？大丈夫？」
「っひゅ、……っ、ぁ、ぅ、」
「先生呼んでくる、ちょっと待ってて！」
「わかった！」
体育館をぐるっと回った裏側で、先に康二くんを見つけたのは蓮くんだった。
そのままくるっと向こうに向かって走り出したから、僕はしゃがみこむ康二くんの背中を支える。
近くに落ちてるお薬の殻は2つ。
あと1回、飲めるはずなんだけど……、ふと、握りしめた康二くんの手が気になってそっと開くと、錠剤が入ったままのケースが1つ入っていた。
「康二くん、もう一回お薬飲もっか」
「ぅ、ぅーっ…」
「苦しいね、遅くなってごめん」
きっと、お薬を出して口に含む力も残ってないんだと思うから。
お薬を取り出した手のひらは情けないほど震えていたけど、落とさずに飲めるようにそうっと舌と歯の間に錠剤をいれてあげた。
「今救急車呼んだからな」
「あっ…ありがとうございます！」
「康二、辰にぃのとこ行こ」
蓮くんと、蓮くんが連れてきてくれた先生を視界に捉えた康二くんが、なんとかこくんと頷いてくれる。
ふたりでぎゅっと手を握ると、遠くからサイレンの音が聞こえた。
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s - このお話が大好きなのですがまたこのお話を再開する予定はありますでしょうか？先ほども言ったようにこのお話が大好きなのでまた書いてくださったらいいなと思いコメントをさせていただきました。ご検討のほどよろしくお願いします (9月13日 22時) (
レス) @page29 id: 3bb6fa2af0 (このIDを非表示/違反報告)
森乃(プロフ) - Cyamuさん» (続) 読み手の皆様に想像しながら楽しんでいただけたらいいな、と想っております。わかりにくさはこちらの力不足ですね…💦検討してみます！ (2022年1月8日 13時) (レス) id: 1f323a239b (このIDを非表示/違反報告)
森乃(プロフ) - Cyamuさん» お読みいただきありがとうございます🙇♀️本作ではお話の途中で誰視点かは確実にわかるような構成を心がけており(名乗らせる、兄弟の名前を呼ばせるなど)あえて視点先を書かないことで、 (2022年1月8日 13時) (レス) id: 1f323a239b (このIDを非表示/違反報告)
Cyamu(プロフ) - 作品に口を挟む形になって申し訳ないのですが、誰seedか付けていただけると誰目線なのか分かりやすくなると思います💦凄いいい作品で表現が素敵なだけに誰目線か分かるとより感情を寄せる事ができるかなとちょっともったいなく思ってしまいました。 (2022年1月8日 13時) (レス) @page38 id: 6e8ef04be9 (このIDを非表示/違反報告)
森乃(プロフ) - あさかさん» あさか様、以前にもコメントをくださったんですね…！いつもお付き合い頂き本当にありがとうございます🙇♀️ (2021年12月19日 21時) (レス) id: 1f323a239b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森乃
| 作成日時：2021年12月2日 22時
