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「ねぇ、ミノ
彼氏できた。」
小さなころから大切にしてきたあの子から
伝えられた言葉に、漫画を読む手を止め、顔をあげる。
『は?どういうこと?
どこのどいつ?』
自然に眉間に皺がよる。
ユリカはとにかくモテる。
だから、俺の知らない間に誰かに丸め込まれたのかと思い、
苛立ちが止まらない。
物心つく前から一緒にいた俺らは、
隣にいるのが当たり前だった。
癖のある俺の性格もよく理解してくれて、落ち込むことを表に出さない俺のことも誰よりも早く気づいて、静かにそばにいてくれるようなヤツだった。
そんなユリカのことを好きになるのは、ごくごく自然なことで。
中学生になる頃には、すっかり女としてみていた。
俺は自分の顔の価値を理解していたし、それ相応の対応を歳を重ねるうちに学んでいったが、アイツはいつまで経っても自分の顔の良さに気付かず、ぼんやりとしていた。
とにかくモテるアイツの裏で、牽制しまくり、幾度のなく男を追い払ってきた。
それに、アイツは男に興味を持つこともなかったし、これからもずっと当たり前に、俺の隣にいると思っていた。
でも、違うってことを急に突きつけられた。
そして、俺のことを男としてみてないってことも。
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作者名:チビ丸 | 作成日時:2023年11月14日 18時